これまでのMCUの中でも立ち位置がかなり変わった作品。
今までのMCU作品と言えば、①新ヒーロー登場のお披露目作品②ヒーローがチームで困難に立ち向かう「アベンジャーズ」作品③前2者を前提に、時系列的にはそれらより後のことを描く作品の3つに大別されるだろう。
しかし今作はブラックウィドウという、言わば我々が「終わりを知っている」キャラクターについて、時系列的には過去に遡る作品となっている。「孤独な暗殺者ブラック・ウィドウはなぜ、アベンジャーズになったのか」なんて宣伝文句だから、てっきりアベンジャーズになる前の前日譚かと思っていたが、実際には「シビル・ウォー」の後の話。
そしてその内容は、ブラックウィドウというキャラクターの過去の清算、そしてフェーズ4という未来へのつなぎというもの。MCUの作品群の中でもかなりアクロバティックな立ち位置だ。
シナリオ的にも、MCUの中では珍しく「ファミリー映画」の要素が強い。それも、ただの典型的な家族愛の話ではなく、家族のカタチやあるべき姿について問を投げかけるようなものになっていた。
それでいて、MCUらしいド派手な演出やアクションは健在。MCUのこれまでの要素と挑戦的な要素、そしてこれからの展開への布石といった要素が上手にバランスのとれた作品だと思う。
