やまだ

ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -のやまだのレビュー・感想・評価

4.3
初心者でも観られる優しい物語
(TVシリーズ未視聴の妹も観ましたが、問題なく観られたそうです)


相変わらず素晴らしい表現でした。
TVシリーズから追いかけている人にも満足させる仕上がりでしたし、初見の人にも分かりやすいよう配慮されていたように感じました。
基本的にヴァイオレット・エヴァーガーデンが一話完結で入りやすいのも影響してるのだとも思います。

ただそれでも最低限キャラクターの立ち位置を覚えておく必要はあると思います。
ヴァイオレットはウィキペディアで、それ以外のメンバーは公式サイトの情報で十分だと感じました。

イザベラとテイラーの二人それぞれのストーリーがある(ほぼ)二部構成で、それぞれ泣かされました。

優しくきらめく自然の色合い
悲しい、寂しい、腹が立つ、嬉しい、楽しい………
喜怒哀楽をわずかな表情の変化でも悟らせ、各キャラの人間味を時間が経つほどプラスしていく人物描写
どこか悲しいお話のはずなのに、どうしようもなく胸が熱くなるストーリーも非常に良かったと思います。

これはTVシリーズにも言えることなのですが、各話のセリフ、語り、そしてラストに表示されるタイトル。
TVシリーズ5話で言う「君は道具ではなく、その名が似合う人になるんだ」のような表記です。
これらは平易な文章なのに、あまりにも強く感情的に突き刺さるように感じます。
そしてその文章がすっと心に馴染むほどキレイで、この言葉使いは流石としか言いようがありません。タイトルの一文でさらにグッと心に響いて泣けてくる作品というのは珍しいと思います。


全編に渡って「優しさ」が満ちている映画でした。
それも押し付けがましい博愛のようなものでなく、自然と心の底から滲み出す慈愛です。
胡散臭くない優しい気持ちが見えてくるので鑑賞後の感覚はかなり心地良いものでした。

TVシリーズの延長でTVとは違う構成、演出が必要なのにそのままの風合いを映画に落とし込んだというのは素晴らしいと思います。
これで初めてヴァイオレット・エヴァーガーデンを知るという方にもおすすめできる。全年齢にオススメできるいい映画です。


ちなみに客層は所謂オタクだなぁって雰囲気の方もいましたが、思っていたよりもずっと幅広かったです。
私の両親ほどのご年配の人もいましたし、若い子も、おじさんも皆いたのでそれだけ幅広く愛される作品なのだなと思いました。

一部のサイトやアプリで特典の高額転売が見られるのは残念ですが、特典関係なしにぜひ色んな人に見てほしいと思いました。
やまだ

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