調伏系V魔虚羅

燃ゆる女の肖像の調伏系V魔虚羅のレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
4.2
18世紀、フランス、ブルターニュの孤島。望まぬ結婚を控える貴族の娘エロイーズと、彼女の肖像を描く女性画家マリアンヌ。結ばれる筈のない運命の下、一時の恋が永遠に燃え上がる。
生涯忘れ得ぬ痛みと喜びを刻み込んだ、鮮烈な恋の追憶。画家と被写体、彼女らの特異な関係性。
パチパチと音を立て爆ぜる火花、揺れる陽炎の奥で、暗闇の中にて光に照らされて浮かび上がる微笑みを含んだ貴女。全てをこの目に焼き付け、ふとした瞬間に瞼の裏で思い出を追想する。
ヴィヴァルディ協奏曲第2番ト短調「夏」によって幕を開ける2人の恋模様。本作で使われた曲は、たったの2曲のみ。もう1曲は、夜の焚火のシーンで、集まった女性たちが合唱する歌曲「LaJeune Fille en Feu」此方もかなり耳に残る印象的な曲だ。たった2曲を恋の分岐点、映画の転換部分に置くことで観客の記憶にもその時の映像を強く残させる見事な手法。繊細な映像作りと役者陣の演技力によって生み出されたフランス時代劇の最高峰とも言える作品だった。
調伏系V魔虚羅

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