ねこみみ

レ・ミゼラブルのねこみみのレビュー・感想・評価

レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)
3.8
ラジ・リ監督、市長役のスティーヴ・ティアンチュー、本作を絶賛の細田守監督の3名登壇のプレミアム試写会 @スペースFS汐留。

ほとんどドキュメンタリー、ノンフィクションに若干の脚色を加えた映画なのだと思う。「面白い」という感想はどこかお門違い。だってこれ、実際に起きていることほとんどそのものなのだから、、、。物語として観るか、社会問題として見るかで圧倒的に感じるものが違うはず。

悪ガキがゴロゴロしていて、悪ガキがそのまんま大きくなったような大人もゴロゴロしているパリ郊外のモンフェルメイユ。
ここはラジ・リ監督本人が生まれ育った街。だから本当のモンフェルメイユを知っている。

出てくる少年も、モンフェルメイユで声をかけた一般人だそう。たくさん一緒に練習をしたよ、と監督が言っていた。

監督は10歳の頃に警察に職質を受けた。それが大きなトラウマになっていると語っていた。私が10歳で職質を受けていたら?と考えた。性格や考え方まで影響していたのではと思う。

悪ガキは自分の悪さに対しての罰を受けたといえばそれまで。でもそれを取り締まる大人も綺麗なもんじゃない。
そこらでおきている何もかもの治安が悪い。でもその警官だって、こんな街で10年も警官をやっていたらこうもなるよなと思う。

結局何が悪いのかというとすごく難しくて、盗みは悪いし、それを許さない大人も悪いし、間違いを隠すのも悪いし、怒りの解決方法は復讐と暴力になってしまっている世界なのが悲しい。
物心ついた頃からそんな世界で生きていたら、他に生きる術を知らないまま育つんだ。全てが連鎖している。負の連鎖。まさに悲劇。

あっと驚く展開はないし、そうだよね…と思いながらも、心臓は終始バクバク。
最後、心は誰の味方でもなく、とにかくやりきれなくて悲しかった。
どうしたらこの悲劇は終わるのだろう。

余談
直前の土曜に、大好きなあの「レミゼ」を観ていたので、警官が言った「俺が法律だ」のセリフにはジャベールを思い出さずにはいられなかった。(意識してるよね、これ?)
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