レ・ミゼラブルの作品情報・感想・評価

「レ・ミゼラブル」に投稿された感想・評価

まおう

まおうの感想・評価

4.0
ようこそ修羅の国パリへ。
カンヌ国際映画祭審査員賞受賞、アカデミー賞外国語映画部門にもノミネートされた衝撃作。
「レ・ミゼラブル」が書かれ、作品の舞台にもなったパリ郊外モンフェルメイユを舞台に現代のパリが抱える無情な現実が描かれる。

ワールドカップ優勝の熱気が冷めやらぬ2018年夏、様々な人種が入り乱れるパリ郊外モンフェルメイユに配属となった警官ステファンは初日からサーカスのライオンの盗難事件に端を発したロマ系住民とアフリカ系住民の小競り合いに巻き込まれ犯人探しを始めるが、事件は恐るべき方向へと転がっていき取り返しのつかない悲劇が起こる…

これが決して笑うことの出来ない修羅の国パリの現実である。
郊外に乱立する掃き溜めのような低所得者向けアパートに住む人々は職にあぶれ違法な商売に手を染め、ギャングまがいのグループがのさばり、そのような環境に適応するため警察は差別心を隠しもせず弱きを挫き強きにへつらう。
絶望的な状況に子どもたちが助けを求めても、大人達は嘘でごまかし全てを無かったことにする。
地獄である。
だがこれが日本のガイドブックやテレビ番組ではお洒落で可愛くてワインとマカロンとクロワッサンの香りが漂い美男美女が愛を囁きあう夢の国のように描かれている修羅の国パリの現実であり、日本を含め世界のどこにでも起きている地獄なのだ。
不幸な環境を腐するだけで何もせず生きる大人がまたさらなる不幸な環境を作り出しそこで子供たちが生きる事になるのだ。
観客に投げかけられる衝撃的なラストとヴィクトルユーゴーの言葉がいつまでも心の中に響く。
(だからといって「悪いのはやった人じゃない…そうさせる環境を作った人がいけないのだ」とか言って私を投げ飛ばしてスマホ奪ったヤツやバイクで私を引きずってカバン奪ったヤツやスリに抵抗したら頭殴ってきたあのガキや無賃乗車しようと改札前で私に張りついて尻を蹴ってきたあのガキのことはゆるさねーけどな!)(こうして憎しみはさらに憎しみを生むのだった…)
tomy

tomyの感想・評価

4.0
少し長いが入り込んでしまう。
挿入歌が歌われたときは鳥肌が立ってしまった。
ガク

ガクの感想・評価

4.2
憎しみが重なる一触即発の街でついに火種が爆ぜる。まだ10代の子供たちが徒党を組んで武力を行使する姿には『クーリンチェ少年殺人事件』を思い起こさせた。

登場人物の紹介の滑らかさ!複数の登場人物が登場するが、それぞれが印象的で混同する事は無かった。救いの無い怒涛の展開の連続で緊張感がすごい。

今、ヨーロッパでは難民とアフリカからの移民で治安が悪いエリアがいくつかあるのは事実。ISISが台頭して難民が急増、尚且つパリでテロが起こる少し前の2016年にパリを訪れた時にでもすでに貧困な町は治安の悪そうな雰囲気を醸し出していた。今はそれよりも酷いんやろな。

次世代に憎しみが残っていく事は本当に恐ろしい。

@ Landmark
Pam

Pamの感想・評価

4.7
あたしは。。これはあまり好きにはなれなかったの。ジョーカーもきつかったけど、これもきついわー。これはジョーカーみたいな芸達者な役者が演じたんじゃなくて、普通にそのへんの子が演じてるから余計にきついわ。

花の都パリ、恋の都パリをバッサリ斬ってくれるからね。 ミュゼットが流れ、ベレー帽もバゲットもピエール・エルメもなんもないからね。

あるのはジアディスト準備軍がたまってそうないそうなケバブやしかねーよみたいなパリね。いわゆるBanlieue。(かならずRERの無賃乗車とセットね)冒頭は2018年のパリのワールドカップ優勝の歓喜シーンから始まる。あの瞬間だけがフランスが皮肉にも一つになったね。エムバッペの活躍は白も黒も黄色のフランスを一つにしたね。

美しすぎるパリがあるからこそ捨てられたパリもある。それを認識しなきゃだめ。美しすぎるパリもリアル。でもここもリアルなの。両方がリアルなの。どっちかだけ見てたらちゃんと見えないの。

ここは人種も違うし社会階層がちがう。すべてが違う。まるで違う国みたい。でもこんな国国連にもどこにも登録してない。どこにもないんだよ。アフリカでもヨーロッパでもない。近未来の国だよね。ほんと。

このレ・ミゼラブルのビクトル・ユーゴーの本作の舞台がこの街だとはしらなかった。嘘でしょ!あまりにもそのまますぎる。あの頃から荒れてたのかよ。。とも思うけど。あの時代だってコレットがパリに出ていくのはこんな気持だったのかと思う。違う国に行くみたいな・・・・両方リアルなのに。

さて、この映画。

郊外の彼らの生活。

産まれたときから、すでに決まっている。教育から、家庭環境から。県番号93。フランス語読みだとキャトルヴァントレーズと言えない人たち。ヌフトワと呼ばれるこの県はあのエムバペの出身県でもある。(シテのボスのTシャツ番号、プリントは93県の市長ってかいてあった)

ただ、フランスにはああゆう地域の学校や地域の子には優先的にいろいろなチャンスを人工的に与えている政策があるのは確かだが、家庭内で培われたり、子供同士でも交わされる文化蓄積が市内や普通のところと全く違うのは否めない。

文化の断絶。。

まぁ、こんな強面のちゃんとした熱血警官がいるのなら悪いことも起きないしょうに。。なんてのは甘い。

おおまかなところあの白人刑事の言ってることでかろうじてこの国は回ってるんです。かろうじてでもう限界。バス停でハッパを吸ってはいけないし、違法な物を売ってる市場にも定期的に見回りにいかなければならない。

93県の普通の子供がジプシーサーカス団のライオンのこどもを盗んでしまうことから事件は勃発する。

正直こんな汚いフランス語は普通の人は話さないが街を歩いてるとこれぐらいならよく聞く。しかし汚い言葉遣いの羅列。

ライオンの子供、ドローン少年。。

ドローンのカメラの引きが素晴らしくきれいに低所得住宅を映し出す。ただこの街からはエッフェル塔はみえない。凱旋門も見えない。のっぺらぼうな団地だけだ。

彼らはパリジャンだが、居場所はパリにはない。



ふとした分別が対立にあり、歯車が狂いだしラストは本当の戦争になる。

ああ、ああ、ああ、
皆さんどう思われます?

どっちが先に撃ったでしょうか。
両方ともやってはいけない所まで来た。

後戻りはできないわよ。あとはあなたが行動してくださいという終わり方でしたね。

あと「Hors Normes」もこれもそうだけど、協力イル・ド・フランス。パリ地方圏のことパリは失望と希望を行き来してるね。
ツジ

ツジの感想・評価

3.0
全然原作と内容が違かった...
随所にフランス映画のオシャレさというかいつも見ている映画と違うなっていう部分があった、知らんけど。多分バックグラウンドに流れてるサウンドがなかったかも、知らんけど。10月くらいに見たから記憶曖昧だから知らんけど。ギャングの抗争映画。日本語で観たらもっと面白いのかもしれん。
BIFFレポート④[クリシェを嘲笑う現代の『ジョーカー』] 100点

超絶大傑作!!2018年のサッカーW杯に浮かれるパリ。二度目の優勝を果たした故国を祝して、シャンゼリゼは練り歩くファンで埋め尽くされる。そんな熱狂の中、主人公ステファンは田舎から新人刑事としてパリにやって来る。ヴィクトル・ユーゴーが『レ・ミゼラブル』を書いたと言われるその地区は、今ではマンションが乱立し、人種や宗教の入り交じる地域に様変わりしていた。監督ラジュ・リは今年39歳と遅咲きながら、デビュー作でカンヌ国際映画祭のコンペに選出され、そのまま批評家にも激賞され、クレーベル・メンドンサ・フィリオ『Bacurau』とともに審査員賞を分け合うという快挙を成し遂げた。

ステファンの指導に付いた昼番の先輩刑事、白人のクリスと黒人のグワダである。彼らは勿論田舎出身のステファンとは異なる倫理観を持っており、この街で警察をやるにはナメられてはいけないという信念のもと、出所したての男に"俺がブチ込んだの憶えてるか?"と声を掛けたり、不自然な場所に立っている少女にセクハラ捜査をしたりしている。当然、彼らの威圧的な態度は相当な反感を買っており、まるで爆発寸前まで膨れ上がった風船に火花をチラつかせるかのような態度で映画を危険にさらしていく。
一方、地元の少年たちはマンションの前のゴミ溜めになったスロープや小さなフットサル場で遊び、地元の大人たちはバザールで日用雑貨を売っている。地区のマンションのエレベーターは市の方針で止められており、日用雑貨などを窓まで持ち上げて運び入れる仕事をしている場面にも出くわす。また、冒頭のシーンでイスラム教徒が子どもたちを取り囲んでリクルートしているシーンがあり非常に驚いた。こんな感じで、エピソードを小出しにしつつ、ありがちな"現代の刑事もの"として物語は幕を開ける。

本作品には現代的な要素としてドローンが登場する。持ち主は監督の息子が演じるバズという少年で、団地を飛ばしながら窃視的な使い方をしていることからもスマホの危険性を暗に示している気すらしてくる。また、ドローンで撮影された映画のショットと共に、バズの視点を持った劇中ドローンのショットが共存することで、神の視点と人間の視点が共存したようにも見えるのだ。その後の展開から察するに、人間が神に近付きすぎたせいで散り散りにされた"バベルの塔"の寓話を思い出してしまう。

そんな中、ジプシーのサーカス団からライオンの赤ちゃんが連れ去られるという事件が発生する。バザールを取り仕切る"市長"率いる黒人勢力、肉屋の店主サラーを中心に集まるムスリム黒人勢力、そして"黒人のガキが盗んだ!"と言い張るロマのサーカス団は目に見えて対立し、亀裂は熱を帯びて広がり始める。そして、警察たちは彼らを丸く収めながら一抜けして威厳を保とうと躍起になる。しかし、ここまでの展開は言ってしまえば想像の範囲内だ。犯人はあっさりと見つかり、彼を殺しかけて隠蔽しようとする流れにも既視感を憶えなくはない。こうしてクリシェにクリシェを重ねていき、最終的に倫理観を問う疑問を投げ掛けて終わる。ここまでなら60点満点のうち60点のような、よくある刑事映画だが、本作品はここからの展開が凄かった。

※現地レポート
釜山映画祭で最も大きいスクリーンでは、ほとんど途中退場者を出すことなく上映を終え、地鳴りのような歓声とともに監督ラジュ・リとステファン役のダミアン・ボナールが登場した。"立ってるのもなんだし、座っていい?"と言って舞台の端に座った気さくな監督は、熱っぽく映画について語り、韓国語フランス語通訳という何も分からない空間ながら楽しんでしまった。釜山の訛りもあったらしく韓国語の分かる友人も全部は聞き取れなかったと言っていたが、資金繰りに苦労したことは分かった。かなり心配していた作品だっただけに、圧倒的な結末への満足度の高く、ブリュノ・デュモン『Joan of Arc』、パブロ・ラライン『Ema』に続く大傑作として、大いに満足した一日になった。
SGR

SGRの感想・評価

4.5
凄い映画を観た…

普通にめちゃくちゃ面白くてあっという間にエンターテイメントだし、シリアスな内容の割に不謹慎なほどコメディ要素もあるんだけど、恐ろしいほどに現代を反映している。。一応、警察
(正義を行使する側)の視点なんだけど、極限までフラットに描かれていて感心というか圧倒された。
ある意味現代の『ドゥー・ザ・ライト・シング』っぽいとも思った。

バンクーバー国際映画祭で鑑賞。日本公開も決まってるみたいなので必見です…!
トロント国際映画祭にて。
北米プレミア

あのレミゼラブルと関係あるのかないのかはあえて調べず、カンヌ審査員賞受賞という事前情報だけで見てビックリした映画。

これはあのレミゼにインスパイアされた、精神を引き継いだまさに現代のストーリー(2018フランスがサッカーW杯優勝、ムバッペとか話題にあがるし)かなと思うが、あのイメージでいくとほんとビックリする。

緊張感がまずすごい…。
コドモたちがサッカーの話題にキャッキャして、無邪気に遊びまわっているあのなごやかな雰囲気はつかの間。

とある事件を機に事態が変わっていく。子供たちも変わっていく。
無知ゆえ幼さゆえの行動、ひとつひとつをとってみると、大人が簡単におさえられると思うのだけど、それが集団になった時…!

これは恐ろしいのだけど、その恐ろしさが日常のちょっとした誤り、差別、過失に起因してて、それがきっかけで引き起こっているというのが、まさにどこでも起こりそうで戦慄。
大人はコドモをなめていた…
なんとかなると思っていた…
そんな風に見えてしまう。

ぼくたちコドモだって一人の人間なんだと無意識のうちに怒りを溜め込んだ子たちの思いが爆発したとき…

想像以上なことがおこる。
武器や悪知恵は持ち合わせていなくても、一人では微力でも、彼らが日常的に遊んでいる中で自然と身に付いた「どってことない」ことやものが武器になり集団になりその力を増す。

2018年を舞台にした話、ここにも差別や格差が根底にはあると思う。
恐ろしいが大人たちの歪んだ思考や偏見は貧困ゆえのゆとりのなさからきているのではと思えるのがなんともいえぬ後味を残す。
子供をちゃんと見守らなければならない大人に余裕はない。そんな社会はギスギスを通り越していた。

いやーすごかった…
見たあと考え込んでしまった。
隣に座っていたご婦人は終盤耳をふさいでうずくまっていたよ…