えり

家族を想うときのえりのレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
3.7
観ている間ずっと苦しい気持ちだった。
これはイギリスでの話だけど、決して日本にとっても他人事ではなく現実に起きていることのため、かなり心にズシンとくるものがあった。

ギグワークで生計を立てる両親とその子どもたちの話。
家族の為にマイホームを、よりよい生活を、と思って毎日朝から晩までハエのように飛び回って必死に働く両親。
雇われじゃないから出した成果の分だけ自分に入ってくると思わせる魅力的で都合の良い言葉として出てくる「個人事業主」「フランチャイズ」というワード。
聞こえはいいけど、実際には必要な裁量も与えられずに企業側の無理なルールにガチガチに縛られ、雇用関係にないため労働者として法律に守られることもないという状態。
何が起きてもすべて自己責任でしょ、で片付けられてしまう。

毎日毎日ハエのように飛び回ってクソみたいな仕事をして…
なんのために働いているんだっけ…
家族と過ごす時間や食事やトイレに行く時間までもを犠牲にしなければやっていけないのっておかしい。

最後、ほんの少しうっすらとだけ希望が見えるのが救いなのかな…?

「わたしは、ダイニエル・ブレイク」の時もそうだったけどほんとにほんとに苦しい気持ちになったな…

※お寺にて開かれた上映会で鑑賞。
住職さんの説法つきでした。
仏教視点の切り口での映画の話って新鮮。
自己責任・自業自得というところの話からイラク戦争の時の話や今のウクライナの話などを交えたお話でとても考えさせられました。
えり

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