HarunaYagi

家族を想うときのHarunaYagiのレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
4.0
ロングライドさんの試写会で公開前に鑑賞させて頂きました。

前作の「わたしはダニエルブレイク」は、止む終えず引退した単身の労働者だったけど、今作はまさに子育て中の現役労働者世代。それだけに、難しい世代の子供との関係性も相まって非常に、本当にヘビー。

フランチャイズ、個人事業主の配達人、やればやるほど稼げると、聞こえの良い搾取システムに取り込まれていく主人公とその家族。1日14時間週6日。働けど働けど……じっと手を見る暇もないはず…。

僅かながら温かい光を感じるシーンは今作でも描かれていて、常にギリギリなのに優しくあろうとしている妻、反抗期真っ只中の兄、賢いが故に辛そうな妹が「子供」の顔をする瞬間が救いだし、多少メロドラマ的であってもこれを描けるのがドキュメンタリーとの大きな違いと思う。

この生活に陥ったのは自業自得と仮定しても、ターニングポイントはあってそこには救済がなかったのだよな…と鑑賞しつつ抜け出す方法を色々考えてはみるのだけど答えが出ない。そんな鋭さと重みを受けた。


多くの方が観て、考えそれぞれ行動する機会となりますように。それが監督の原動力なのだと思うし。あと、原題は残して欲しかった。
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