このレビューはネタバレを含みます
最速オンライン試写会と、劇場で計2回鑑賞。私的ドラン作品第1位更新しました。今作が一番好きです。
マキシムがピュアで優し過ぎて泣ける。天使かな?
ジャンキーで療養中の母に暴言投げつけられても、幼なじみが変な態度を取り続けても相手に怒り返すことがない。本当は辛いのに、悲しいのに、怒りを感じているのに言葉に出来ない。
正反対にマティアスは優等生キャラで内面拗らせまくる。言葉の揚げ足を取り、自分の意見を振りかざし、相手の意見を遮る。
このコントラストが、キスシーンで鮮やかに衝突し、溶け合って、反転する。
マキシムは初めて気持ちを語り合いたい、確かめたいと口にする。マティアスは答えられず、黙ってその場を去る。
友情が恋情に変わったり、変わらなかったり、どちらなのか2人も分からない。ただ、ずっと一緒にいられると思ってたんだな。ずっと一緒にいたかったんだな。という気持ちはラストに向かって痛いほど伝わってくる。
この気持ちにジェンダーは関係ないと思うし、そういう意味でドラン監督が「同性愛を意識した作品ではない」と語っている通りだと思う。むしろ、ジェンダー問題持ち込むひとの方が不粋だと私は思う。この作品のメインテーマはそこじゃない。
誰かを好きになる、その感情の揺らぎを繊細に、丁寧に描いている良作でした。