Nana

マティアス&マキシムのNanaのネタバレレビュー・内容・結末

マティアス&マキシム(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

【マティアス&マキシム】

切なさでどうしようもなく胸がいっぱいで、
そんな余韻が残る作品は大好き。あのシーンもこのシーンも、彼らの表情を思い出すだけでまた涙が溢れてきそうになる。

楽しみにしていたドランの新作 🎬🧑🏻‍🦱🧔🏻

ドランの地元であるカナダ・ケベックが舞台。

また出演者の友達役も仲間内らしく、みんなでわちゃわちゃした感じは本当に仲が良いのが伝わってくるし、仲間をメインとした作品ははじめてで、ドランの作品の中で1番明るい雰囲気だった!そしてみんな顔面偏差値高すぎ~!

恋と友情の狭間で揺れるマティアスとマキシム。

言葉少なくとも、抑えてる想い、溢れ出す想いが…
画面から、表情から、全て伝わってくる。

今回は音楽もピアノの旋律や、クラシック系が多く切なさを更に掻き立てられたり、スローモーションの多用はなく、倍速での映像もポップな感じははじめてのような気がした。それを考えるとドランぽさのクセのある感じはそこまで強く感じず、これはこれで好き。


出世街道エリートのマティアスに対し、マキシムはいい暮らしとはいえず、それに強烈な毒親である母がいて(アンヌさん毎回すごいわほんとに!)家庭環境の格差や、全く住む世界の違う2人の対比、からの子供の頃に描いた絵はずるい……
あの頃の2人は同じ目線で、同じ世界にいたんだなぁと思うと胸が締め付けられる思いになった。


ああ、最後の推薦状はそうかぁ~~
何か思い出すだけで泣けてくるな。はっきり言葉で伝えない終わり方も、これはこれで好きだし短編映画をはっきり見せてくれないのも逆に良い。

今年の2020公開作、楽しみにしてた甲斐もあり
ベスト級に好きな作品でした🏆


好きなシーンがありすぎてあれもこれも書きたいけど、ほんと上手くまとめれない自分を悔やむ…

ソファでの距離感からの密室でのキスシーン。

ちょこんと座ってるドラン、子供みたいでめちゃくちゃ可愛い。外は雨、雷が鳴り、だけど2人には静かな時間が流れ緊張感高まる中抑えてた気持ちが溢れてしまう、そしてマティアスはあんな言葉吐き捨てて後悔して…マキシムには痛恨の一言だったと思う。でもちゃんと顔のアザにもキスしてるところ震えた。
ここは忘れられないシーンだ。

そして電球が消える…チカチカしていた電球が揺れ動く気持ちを表現していたかの様な演出が素晴らしすぎる。


そいえば顔のアザは、特に触れられてなかったけど
唯一、バスの中で何度も視線を向ける人、マキシム自身が鏡の前でアザを隠すような仕草。
母との確執や、自身が心に負った傷、コンプレックス、周りとは自分はどこか違う受け入れてもらえないのでは…とゆうそんな繊細で痛々しい感情が伝わってきた様に思えた。


俳優としてのドランがナチュラルで魅力的。

同性愛の物語には抵抗がある人でも、かなりライトに描かれているし、純粋に相手を思う気持ちには誰もが抱く感情となんら変わりない。また、仲間が周りにいる環境での描き方は2人だけの世界ではなく、また違う恋愛映画として観れたのも良かったなぁ。

優しさや痛み、複雑な想いが映像に溢れ出す
“純愛ラブストーリー“ でした。

何だかまとまらんくて長くなってしまったけど
どのシーンも思い出しては心に響いて、
劇場を出て帰りの車内でも込み上げるものがあり、
ああ、いい映画を観たなぁ~とそんな余韻が残る作品でした。



★冒頭に“捧げる“ と出てきますが
『マティアス&マキシム』は以下の作品の4人の映画監督に捧げた答えだそうです。

『君の名前で僕を呼んで』(ルカ)
『ある少年の告白』(ジョエル)
『ゴッズオウンカントリー』(フランシス)
『ブルックリンの片隅で』(エリザ)


🎬〚2020.248〛
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