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北の果ての小さな村でのmoimoiのレビュー・感想・評価

北の果ての小さな村で(2017年製作の映画)
5.0
本人たちが本人たちの物語を演じる、ドキュメンタリーとドラマが融合した不思議な作品。
似た手法が『15時17分、パリ行き』でも使われている。
主題が明確で、再現ドラマの中にイーストウッドの色が出てホモソーシャル的なマチズモが漂う(と私は感じた)『パリ行き』と異なり、『北の果ての』は徹底して突き放した俯瞰の視線で作られ、観客に想像させる余白が多いように感じた。

主人公が村人と接しながら、自身の差別意識や決め付け、彼らを〝自分探し〟のために上から目線で消費していたことに気付いていくさまにハッとさせられた。
少数民族や田舎を描く物語を、私自身も消費してきたのではないだろうか。
ドキュメンタリーとドラマの境界を溶かした今作だからこその提起なのかもしれない。

主人公に自己を投影しながらも、スクリーンに映るグリーンランドの風景の美しさ、子どもたちの愛くるしさにはただただ胸があたたかくなった。
大きな画面で観るべき作品。
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