余計なディテールが邪魔をする
仲間内の抗争の末、誤って警官を殺してしまったバイク窃盗団の男にかけられた報奨金の獲得をめぐって、報奨金を妻に渡したい男と窃盗団と警察が駆け引きを繰り広げる。
「薄氷の殺人」のディアオ・イーナン監督×グイ・ルンメイによるノワール。「薄氷の殺人」は、サスペンスフルなストーリーと雰囲気のバランスがとれたいい作品だったが、本作はかなり映像美や雰囲気に振った作り。
夜の雨、湖のじっとりとした肌触りと、ネオンやライトの強烈な色彩に彩られた映像や、意味ありげなカットが印象的。そういった映像に引っ張られる一方で、ストーリーは散漫で駆け引きの構図がわかりにくい。
男たちの身勝手なバイオレンスの裏で、それに巻き込まれた女たちである風俗嬢のグイ・ルンメイと男の妻レジーナ・ワンが影の主役なんだけど、そこが浮き立ってこないから、ラストシーンの爽快感がいまひとつに感じられた。