いずみ

小さな兵隊のいずみのレビュー・感想・評価

小さな兵隊(1960年製作の映画)
3.9
ゴダール長編第2作目。「映画は1秒で24枚の真実を語る」という名台詞…。ゴダールの映画論がもうこの頃から炸裂。相変わらずゴダールは訳わからないのが正直。友人から紹介されたアンナカリーナに一目惚れするブリュエル。アンナカリーナとブリュエルが言葉を交わすシーンだけが妙に長い。アンナカリーナにこの頃から惚れ込んでいるのがわかるし、彼女の姿を報道カメラマンのブリュエルが隙もなくシャッターを切る姿はゴダールの欲望そのものだと思った。当時は今作がプロパガンダとして上映禁止になったらしいがそれもよくわかる。現代の悲劇は政治だ、とはっきり台詞で表しているのは戦時中にはタブーすぎた。ラスト、彼女を救うために人殺しを今まで拒んでいたのに殺してしまうがもう既に彼女は拷問されて死んでいた。美しくも残酷な画面はラストには一気に崩壊する。それがゴダール。美と崩壊は常に密接している。アンナカリーナとブリュエルが話すシーンだけではなくても全て詩的で哲学的なのは言うまでもないがどこか惹かれるのがゴダールなのかもしれない。
いずみ

いずみ