小さな兵隊の作品情報・感想・評価

「小さな兵隊」に投稿された感想・評価

Angie

Angieの感想・評価

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終わりのない語り

最初から最後までブリュノの語りでこの映画は進む。彼自身の情熱的な言葉、詩的な言葉、そして数々の引用。物事のやりとりさえサイレントになり、彼の語りは続く。彼はどこか諦めていて、何も行動しない。自分が救われることさえ拒否するブリュノの感情は、私にはわからない。おそらく本人でさえわかっていないのだろう。わかるのは、彼のその諦めた低姿勢の生き方。そしてヴェロニカに恋をしたという感情。

美しいのは、ヴェロニカの写真をとるシーン。ハイドンをバックに、ヴェロニカは様々なポーズをとりながら部屋を駆け回る。そのあどけなさと若々しいみずみずしさを感じさえすれば、彼女の正体が説明されないことも気にならない。彼女が不意に投げかける目線。これはゴダールに向けてなのかもしれない。

この映画だけではなくゴダールの映画全般的に言えることは、カメラマンの存在を強く感じるということだ。遠くから冷ややかにブリュノの運命を撮影する。カメラは左右に揺れ、カットを止めることはない。その躍動感あふれる撮影方法にドキュメンタリー映画のような要素を感じる。

そして彼の言葉によってしか伝えられなかったヴェロニカの死。このあっけなさ、FINの文字を見つめる私の目。
同時代の政治的要素を盛り込んで作品をつくるというのが驚きでした。
スパイ、拷問等という緊張感のあるストーリーなんだけど、その中でアンナ・カリーナだけは妖精のようで、ふわふわしてつかみどころなく、そしてとてもかわいい。ゴダールの彼女への愛があふれて、それを抑えきれなかったという感じ。
aymie

aymieの感想・評価

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ブリュノは写真家であり、フランスの右翼組織のスパイでもある。
友人に紹介されたヴェロニカに一目惚れするが彼女は敵方のスパイだった。

同作は、"アンナ・カリーナ×ゴダール"の最初の作品。
アルジェリア戦争の時代、反政府的な内容のため、スイスのジュネーヴで撮影するも公開延期に見舞われ同国で問題作とされる。

核心に迫っているというか、この時代にこういった作品を世に出そうとしたなんて、革新的。
中には見るに耐え難いシーンなんかも盛り込まれていたりするのですが、迫真感があります。
独特の演出、世界観で、それが逆にメッセージ性の強さを、余韻を、残すような。

"人は時に短剣でわが道を切り開く 悲しみは乗り越える 僕にはまだ残された時間があるのだから"

争い合うことが一体何のためになるのか、また、後に残るものは何なのか、やりきれない気持ちになります。

アンナ・カリーナの無邪気で可愛らしい繊細な表情や仕草が印象的。
相当惚れこんでいた証なのか、彼女の一瞬一瞬の魅力が伝わってくる感じ。
観ている側までもすっかり彼女に魅了され、だからか、ラストがあまりにも酷であります。
YM

YMの感想・評価

3.7
政治的なメッセージ云々よりも、アンナ・カリーナが好きでしょうがないゴダールの下心の方が感じられたし、極めて私的な映画だなという印象。早口で捲し立てる様に喋る男とそれを軽やかにかわす女という構図はそのままゴダールの男女関係の形なんじゃないかなと思う。
アンナ・カリーナ以外の登場人物がほぼ男性で顔の見分けもつかないくらい印象がないんだけど(僕が日本人だからかもしれない)、それがよりアンナ・カリーナの美しさを際立たせているように思う。

ハリウッドにやらせたらド級のスペクタクル超大作になるようなテーマでも彼が作れば退屈なフランス映画になるんだから、彼の作家性は凄い。
林檎

林檎の感想・評価

4.0
今作も含め私が今までに観たゴダールの作品はどれも白い壁でシンプルな部屋がでてくることが多い…その分登場人物が際立って見える。アンナカリーナを大事そうに撮るゴダールが頭に浮かぶ、そんな映像でした。

アンナカリーナの大きなパフスリーブにフワッとしたワンピ姿が忘れられない。あと、"またね"っていう時のポーズ!!!レコードの穴から目を覗かせるところも!お茶目で可愛すぎる( ; ; )♡囲みメイクの似合うドーリーアイは、アンナカリーナが世界一なんじゃないかと思う。
勝手にしやがれではベルモンドがフラフラになって死んでいくとこを画面におさめたゴダールが、小さな兵隊ではアンナ・カリーナが死ぬとこを写さずに、死んだと言って済ませたところでゴダールのことは信じられると思った。
初期の作品らしく、ゴダールにしては勝手にしやがれ同様比較的わかりやすいものがあったが、相変わらず編集がキレキレで若々しくて良い。

それにしてもラウール・クタールの手持ち撮影って何故かわからないけど下品さが感じられなくて、この手の撮影の完成形のように既に洗練されているから素晴らしい。
それまでの芸術全てを飲み込んだ七番目の芸術は、狂おしいほどに美しい。民族自決にひび割れる世界の中の白い一室で、女は理想を、男は寡黙を、口にした。鏡の中の顔は、内面に思い描く顔と違うと知って、言葉の真偽も不確かに、無視することも増えてくる、それは今も同じ。絶望のような音楽も、敏腕でないのも、最高すぎる。
下心まるだしでハゲてて可愛い
観た人全員がゴダールフィルターを通してアンナカリーナに恋をしてしまうというテロリズム映画でもある
カットを切り返さないでシュシュッとパンする室内の長回しがすごかった。この緊迫感はミゾグチだなぁ〜〜
mimikita

mimikitaの感想・評価

3.4
終始流れる、陰鬱で不穏な低音のピアノ。 シューマンのようなメロディを聞かせることもある。最後には上昇していく。 そして悲劇的なクライマックスへ。しかし、サクッと終わる。

物語のトーンは暗い。右なのか左なのか。
結局口説くためだろう。

ハイドンの交響曲94番、驚愕。
△□◯。 je vous aime。アンナ・カリーナのさりげないキス。
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