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ANNA/アナのRのネタバレレビュー・内容・結末

ANNA/アナ(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2020年のフランスの作品。

監督は「レオン」のリュック・ベッソン。

あらすじ

1990年、モスクワ。モデル事務所にスカウトされた女子大生のアナ(サッシャ・ルス)は一躍有名になるが、彼女の正体はソビエト連邦の諜報機関KGBの殺し屋だった。

Netflixにて。

リュック・ベッソンといえば、言わずと知れた著名な監督の1人であるが、戦う女性ヒロインの作品を多く撮っていることでも知られており、最も有名な作品だと「レオン」、近年でも未見だが「コロンビアーナ」など撮っている監督で、その分その主人公に監督の女性の好みがめちゃくちゃ反映されていることでも一部揶揄されている。

で、今作の主人公アナを演じた女優さんが金髪で鼻筋の通った美人さんということで一緒に作品も作った元嫁さんのミラ・ジョヴォビッチにめっちゃ似てる!!

だから、観る前はやれやれまたベッソンのフェチズム全開の作品かとナメて観てたんだけどこれがなかなか面白い!!

お話はあらすじの通り、表向きはスーパーモデル!しかし、その実態はKGBのスパイで殺し屋だった!という無邪気にも程がある内容笑。

ただ、それを体現する主人公アナを演じるサッシャ・ルスがやっぱものすごく美人。初めはマトリョーシカ売りをしている貧乏女学生みたいないで立ちなんだけど、スカウトされて華やかな衣装に包まれると途端に大化けするからすごい!!多分この感じだと実際にモデルさんもやっているんだろうけど(ポージングがすげぇ様になってるから)、この人がすごいのがアクションもちゃんとすげぇってとこ!!

実はスパイでしたな流れから、ドストエフスキーをチェーホフで返す切り返しの利発さを買われて、初めての殺し=テストを兼ねてターゲットがいるカフェに単身突入するんだけど、そこではターゲットの大勢の部下たちに対しても八面六臂の大立ち回りを披露してくれる。

まずは、立ち向かってきた部下に弾づまりを起こした銃身を首に突き刺す、そっから敵の背中をガードにしながらの2丁拳銃で突撃からのカフェの皿を武器にしてのジョン・ウィックよろしく「皿・フー」を披露と鮮やかな流れで敵をバッタバッタと倒していく…!!

もうここの流れるようなカメラワークとスピーディなテンポのアクションが実に小気味よくて、リュック・ベッソンってこんなに腕があるっけ?と驚愕してしまったと同時にこのサッシャ・ルスのとてつもないポテンシャルに舌を巻く!!

美人でアクションもできるって最高かよ!

で、そんなテストをパスして殺し屋として順調にいくかと思いきや、モデル業との両立が難しく、瞬く間に憔悴しきる様はさながらブラック企業一年目で参っちゃう系新人女子社員のそれ。

休みたい…って今の俺かよ笑。

ただ、実はそこでKGBスパイという事実がバレて、CIAに捕らえられ、今度はCIAと KGBの狭間での二重スパイというドツボにハマっていくアナ、かわいそー。

ここの場面で面白いのはKGBではルーク・エヴァンス(「ピノキオ」)演じるアレクセイ、CIAではキリアン・マーフィー(「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」)演じるレナードとそれぞれの場所に相手役がおり、愛を交わしている点!!これぞ、女スパイ!という感じで実にセクシーだし、なかなか手を出さない奥手のレナードのシーンではパイチラまで✨!!

ただ、そんなシーンの最中で一際存在感を発揮するのがKGBの女中間管理職のオルガを演じたヘレン・ミレン(「ゴヤの名画と優しい泥棒」)。はじめ黒髪ででかい黒縁をかけているので誰?って感じだったんだけど、そのふてぶてしさと手榴弾型のライターでタバコを燻らすその姿はまさに大女優という感じで、すげぇカッコいい!!

一見無慈悲で冷徹かに思えるんだけど、過去の自分にアナを重ねている部分もあって、母親じゃないけど所々面倒をかけるところも女上司って感じで良かった。

で、アナとしてはモデルとして成功したいわけでもスパイとして暗躍したいわけでもなくて、ずっと悲惨な境遇でしか生きてこれなかった分、ただただ自由になりたいっていう想いがあるんだけど、二重スパイとしてどんどん危険な境遇に追い込まれていく。

で、どうなっていくのかなぁとその心境を見守っていくとラストの着地点としても実に納得がいくかつスカッとした終わり方だったのでは?

終盤の公演のシーン、アレクセイとレナードそれぞれを呼び出し、喧嘩両成敗じゃないけど、それぞれの機密データを渡しつつ、コピーはいつでも出せますよ!って感じで颯爽と去っていく。

で、最後に勝つのはKGBでもCIAでもなく、戦い欺いた女「たち」!!

実にスカッとするラストだったと思う。

ただ、一点モデル事務所でアナといい感じになるボウズの女の子がただただかわいそうに振られるだけだったので、その子にも救いが欲しかったかなぁ。

サッシャ・ルスの素材としての魅力も生かしつつ、アクションも抜群で、尚且つ観ててスカッとする、特に女性にこそ観て欲しい意外と「アナ」どれない作品でした!!
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