アオヤギケンジ

星屑の町のアオヤギケンジのレビュー・感想・評価

星屑の町(2020年製作の映画)
4.0
能年玲奈のスター性をとにかく感じる映画。能年玲奈への想い溢れてやや長文です。
ストーリー自体に連動性がないため、特に誰にも肩入れできず、最後まで基本的には「何だかぼんやりした映画だな」というのが正直な印象です。演出も脚本もずっとぼんやりしていて、凹凸があまりありません。何よりベースがグループの中での人間関係のゴタゴタなので、そもそもそのグループに関心の持てなかった自分は、別にこのグループがどうなっても良いとしか思えませんでした。
しかしこの映画を語る上で、そんな映画の内容などどうでも良いのです。とにかく能年玲奈。彼女がそのスター性を発揮する瞬間があるのですが、そのときの輝きたるや尋常ではありません。ものすごい説得力で能年玲奈という存在は特別なのだとわからせてくれます。
能年玲奈がこの映画で素晴らしいのは、そのスター性を発揮するまで、彼女は本当に田舎にいそうなちょっとかわいい女の子ぐらいに見えるということです。つまり途中まで、彼女は自身のスター性を完全に隠し切れているのです。だからこそ彼女がその輝きを発揮する瞬間、その輝きはさらに眩しいものに見えます。この圧倒的な演技センスとポテンシャル。唯一無二と言って良いほどの存在であると言えると思います。そんな彼女が自由に活動する場を奪われ、この映画が実写としては6年ぶりになってしまっているというのは、芸能全般における損失と言って良いでしょう。彼の事務所には本当に自らの行いを反省し、ただちに是正していただきたいところ。