MasaichiYaguchi

エコー・イン・ザ・キャニオンのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.5
ボブ・ディランの息子であるミュージシャンのジェイコブ・ディランが製作と案内役を務め、1960年代から70年代にかけて多くのミュージシャンが暮らしたローレル・キャニオンを題材に、リンゴ・スター、ブライアン・ウィルソン、エリック・クラプトンら錚々たるミュージシャンたちへのインタビューを通してウェストコースト・ロックの誕生と隆盛を紐解いていく。
更に本作では、ジェイコブが、ベック、ノラ・ジョーンズ、フィオナ・アップルら当時の音楽に影響を受けたミュージシャンたちと共に、ローレル・キャニオン生まれの名曲たちをトリビュートしたライブとアルバム制作に挑む様も並行して描かれる。
同様にウェストコースト・ロックの聖地を題材にしたドキュメンタリーで「ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック」があるが、本作との違いは、そこの住人であった多くのミュージシャンたちのパフォーマンスのアーカイブ映像で、ローレル・キャニオンの“豊穣”を浮き彫りにしたが、この映画は、当時の音楽に影響を受けた新しい世代のミュージシャンたちによるライブを通し、その“豊穣”さを受け継ぐ様を描いているような気がする。
事実、新しい世代によるウェストコースト・ロックの名曲の数々は、アレンジをしていなくても古びた印象はなく、正に“エバーグリーン”なのだと思う。