じゅり

プライベート・ライアンのじゅりのレビュー・感想・評価

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
4.0
前にも一度観たけど、1番みるべきとされてる冒頭の上陸シーンを何故かすっとばして観てたのでもう1回観た。また観てみて、好きな映画になった。アメリカ軍は当時、とある五人兄弟を一度に亡くした報告をその遺族に送ったところ、本土にいる多くの国民から大変な批判を買ったらしく、兄弟全員が亡くなるケースをすごく懸念していたらしい。だからたまたま軍のトップに目についたライアン4人兄弟の末っ子の救出命令が出た、という設定になってる。ミラーについていく隊員たちも、何でみんなと同じ様に戦うたかが1人の隊員の為に、8人もの隊員が命をかけて救出に行かないとあかんねんって思ってたもんね。でも、終盤に行くにかけて、そんな乗り気にはなれない命令も責任をもってただやり切る事で、胸を張って故郷に帰れる、という考え方になっていく。というか、そんな考え方にすがるしかないよなあ。前線に送られている人たちが完全に駒扱いになっていて、戦争の無力さがその矛盾だらけの設定で分かる。初めのノルマンディー上陸のシーンはもう、すごかった。当時の映像の中に飛び込んでしまったのかというほどの恐怖感。生きてるってどいうことかさっぱり忘れてしまうほど、惨劇の連続同時多発。ミラー、ミラーについて行く隊員、ライアン、全員どんな人生を送ってきたのか、もし戦争がなかったらどんな人生だったのか、考えてるけど、今はただ目の前の事に集中している様が、劇中にも出てくる「戦争を美化して考えた言葉」に当てはまってしまう。全員の男臭い会話が所々とても愛しい。私はでもこの映画に出てくる誰よりも、アパムが観てる人の感覚に一番近いと思うし、感情移入しやすいんじゃないかと思う。終始あたふたした彼の、一生懸命で優しい姿は、感動するし、最後捕虜だったドイツ兵がまた現れるシーンの感情のぐちゃぐちゃさといったらもう、すごく共感してしまう。本当にこんな人たちが世界中にいっぱいいた時代には、二度と戻って欲しくない。
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