映画メモ

プライベート・ライアンの映画メモのレビュー・感想・評価

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)
5.0
戦争によって深まる絆、愛情、人生観、高まる精神、肉体なんてクソ食らえって思うけど、戦死者たちの死を無下にすることはしてはいけないとも思う…。


1年前に見ていたら、どこかしこで感情移入して号泣していたと思う。でも今は戦争について知れば知るほど色んなことを考えてしまって、一つのドラマとして見ることができなくなってきた。

これは、どういうことなんだろう。

この映画では、戦時中の兵士たちの仲間や家族への思いが、多く描写されている。任務と人命のどちらをとるかで葛藤し、結果的に犠牲を恐れずに任務を果たすことを選ぶ場面もあった。

昔の私だったらそこで泣いていた。辛い状況で深まる人間同士の絆や、死を恐れない勇敢な姿に感動するはずだった。
しかし、今はそれがまさに極限状態が作り出す“異常な姿”にしか見えない。本来経験しなくて良いことなのに、命より大事なものなんてないはずなのに…と感じてしまう。

憎悪によって生み出され、命の価値観をバグらせる戦争が、感動を生むはずがない。
そこで生まれたストーリーを美化して捉えるのでは何の意味もない。
人としての正しい姿が、そんな状況で映し出されるとは思えない。
豊かさこそが人の優しさを育み、命を大切にできるものだと信じたい。

戦争を伝えるのに、ドラマは必要なのか…?戦争映画から学ぶべきことは何か…?
そんなことを考えさせてくれたのが、この映画だと思う。ただ、ウェイドが死ぬ時は結局泣いてしまった…。あれは悲しすぎるよ…。

リアルを追求して、見る者の感性にひたすら訴えてくる冒頭の20分間は、戦争の恐ろしさがダイレクトに伝わってきたし、戦争映画にしかできないことだと思う。
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