本作と『シンドラーのリスト』を観て、僕はスピルバーグの本当の凄さを知った気がする。「SF映画の娯楽大作の巨匠」という子供の頃からのスピルバーグ像を完全に覆されたと思った。ノルマンディー上陸作戦のシーンをはじめ、あんなに生々しい戦争描写は他に観たことがなかった、まるで本当に戦場にいるかのような臨場感で、劇場で初めて観た時は目眩がするようであった。もちろんスピルバーグ自身がユダヤ人であるということは彼の作品に影響を与えているだろうし、本作にこめられたメッセージもあるだろうが、すべて映像で語っているところが、彼の本物としての凄みだなと思う。キャストも迫真の演技で応えている。
