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ウルフズ・コールのShinMakitaのレビュー・感想・評価

ウルフズ・コール(2019年製作の映画)
2.1
シリアで工作員回収任務につくフランスの攻撃型原潜〈チタン〉。艦長グランシャンは、艦を浮上させず潜水移動中の工作員を定位置で待つ指示を出す。その時、ソナー員シャントレッドが未知の音を感知した。4枚プロペラの潜水艦か?しかしこの音に合致する潜水艦は存在しない。悩み抜いた挙句、シャントレッドはクジラの可能性を口にしてしまい、脅威ではないと報告してしまう。しかしこれは過ちだった。音の正体は、国籍不明の潜水艦だったのだ。この潜水艦からシリア軍に連絡が行き、対潜水艦ヘリが出現。〈チタン〉は機雷攻撃を受けてしまうのだった。

辛くも作戦を成功させ、基地に帰投した〈チタン〉。いまフィンランドがロシアと小競り合いをしており、フランスもフィンランド側に着いたことでロシアとの間に緊張が続いている。そこで、引退を撤回させられたグランシャン艦長は新たなミサイル原潜〈レフローヤブル〉の新艦長に就任。〈チタン〉は副長だったドルシに任されることになった。そんななか、己の失敗を嘆いていたシャントレッドは、あの4枚プロペラの潜水艦の正体を暴こうと調査を開始。その結果、謎の原潜が廃棄を偽装されたロシア原潜ティムール三型だったことがわかる。ほどなく、このティムール三型が、何とベーリング海から核ミサイルをフランスに向け発射してきた。ついにロシアとの戦争が始まったのだ。大統領命令が発令され、出動していた〈レフローヤブル〉がロシアに核攻撃を仕掛けるため無電をシャットアウトして潜航することになる。迎撃も失敗し、核ミサイル着弾まで時間がなくなり基地内がパニックになるなか、ベーリング海から届いた音サンプルを聴いたシャントレッドは衝撃の事実を掴む。ティムール三型が発射したのは、核を搭載していない無害のミサイルだったのだ。同時に、フランス大統領はアメリカから情報を受け取った。ロシアは以前、ティムール三型をイスラム原理主義組織に売却していたというのだ。この騒動は、テロ組織がカラのミサイルでロシアのフリをして、フランスの核攻撃を誘発しヨーロッパに全面戦争を引き起こそうとする陰謀だったのだ。大統領が攻撃中止を命じたくとも、すでに〈レフローヤブル〉は姿を消し、攻撃準備に入っている。もはや世界の破滅を止める手立てはない…


「ウルフズ・コール」。フランスの潜水艦映画です。


以下、ネタバレ・コール

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正体不明の潜水艦に痛い目にあったフランスの潜水艦がリベンジマッチを挑むアクション…かと誰もが思った予告編。しかし!蓋を開けたらそんな陳腐な話じゃありませんでした。カタルシスゼロ、悲しい気分になる救いのない潜水艦映画です。

まず、敵役であるティムール三型とは戦いません(泣)。ロシアの原潜とも戦いません(泣)。え、じゃ潜水艦バトルは無いの⁉︎ とお思いでしょうが、それはちゃんとあります。誰と誰が戦うかは…ナイショにしておきましょう。

やや緊迫感に欠ける演出はあるものの、ストーリーの意外性で高得点。いま俺が1番ハマっているレダ・カテブ、フランスのボビー・オロゴンことオマール・シー、そして昔はアイドル級の人気を誇ったマチュー・カソヴィッツという渋オジが勢ぞろいしているのも魅力的。魚雷が外れてほしいと観客が願う潜水艦映画は、相当珍しいです。オススメ!
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