ShinMakita

朝が来るのShinMakitaのレビュー・感想・評価

朝が来る(2020年製作の映画)
2.0
都内の高層マンションに住む夫婦…栗原清和と佐都子には6歳になる息子・朝斗がいる。朝斗は2人の実子ではない。産んでも育てることのできない事情がある母親を助ける養子斡旋団体「ベビーバトン」の紹介で得た養子だった。6年前、朝斗を引き取りに広島にむかった際、佐都子たちは実母・片倉ひかりと面会している。ひかりはまだ、中学生であった。

ある日、佐都子の元に「朝斗を返して欲しい」という電話がかかってくる。電話の主は、返せなければカネを払ってくれという。従わなければ周囲に朝斗が実の子じゃないことを触れ回ると言うのだ。とりあえず会うことを承知する佐都子と清和だったが、現れたのはスカジャンに茶髪という、片倉ひかりとは似ても似つかない女だった。しつこく「私が子供の母親だ」と食い下がる茶髪女に、毅然とした態度で接した佐都子は、彼女を追い返す。が、その後、神奈川県警の刑事が栗原家を訪れて…


「朝が来る」。

以下、優しい人・ネタバレな人。

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河瀬直美の映画にハズレはないと期待した一本。確かに良作で、フィクションの空気とノンフィクションの空気が渾然一体となった実在感は、河瀬監督らしいなと。栗原夫婦のドラマとひかりのドラマのメリハリがあって完全な二部構成なのもわかりやすい。栗原パートで「ひかり」の顔を不明瞭にする演出がいかにもミステリっぽくて河瀬映画らしくないんだけど、ま、ここはストーリーの核だから仕方ないか。

永作博美の演技力にも頭が下がるけど、蒔田 彩珠の表情演技が抜群でしたね。樹木希林に次いで、「是枝アセット」を上手に共有する、これまた河瀬監督の技なのでしょうか。本作、「そして母になる」ってタイトルでも違和感ないし。


それにしても、ひかりの人生には切ない思いしかない。佐都子と朝斗に巡り合い、「広島の母ちゃん」として立派に再生できたらいいなぁ…
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