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朝が来るのGKのレビュー・感想・評価

朝が来る(2020年製作の映画)
3.8
永作博美、井浦新、蒔田彩珠、3人の演技が非常に良かった。前2人は迷い葛藤しつつ真摯に子どもに向き合う親を見事に演じていたし、蒔田彩珠は感情表現がうまくないが迷い苦しみそして救われる少女を抑えた表情で伝えていた。

本作は様々な社会課題を扱っているが、それらは複雑に絡み合い、簡単に解決できないことがよくわかる。
作中では、望まれない妊娠をした女性と特別養子縁組希望者をつなぐ団体が登場するが、その団体のフォーカスは「子ども」。子どもが幸せな生活を送る、ということを最優先としている。よって子どもを迎え入れる側の両親には「どちらかが仕事を辞めること」を条件として提示をするし、子どもを生む女性のケアは出産直前の数カ月のみだ。
気にしないわけではないが、あくまで優先するのは「子ども」であって、養子縁組先の両親や実母ではない。
両親は大人なので自己解決できる力があるが、実母のひかりは10代だ。1人で解決することはできない。

それが悲しい現実を生むのだが、その団体を責めることはできない。
1側面を解決しただけでは社会課題の解決には至らず、複雑で難しい現実に直面する。

じゃあこうすればいい、という答えはない。
できるだけ多くの人の善意の集積が必要、としか言えない。

そういった現実を知る、という点でも良い作品だった。
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