ファイル共有ソフト「Winny」が社会的に問題となり、開発者の金子勇氏が著作権法違反幇助の容疑で逮捕される。彼の無罪を勝ち取るために弁護士の壇俊光が弁護を引き受ける実話ドラマ。
今ではもう20年も前の出来事。当時からニュースでも話題になっていたWinnyを巡る騒動。その開発者が逮捕されるも無罪になるまでを描いたのが本作。
金子勇氏を演じたのは東出昌大。ここ数年間、私生活で色んな話題を振りまいた彼ですが、本作での演技はなかなかのもの。天才プログラマーであり、群を抜いた才能を持っているものの、一般常識には疎く、警察側の罠にも引っかかりやすい性格。
そんな彼を救おうと立ち上がったのがサイバー犯罪に強い弁護士の壇俊光。開発者には何の罪もないと掲げる彼が、金子氏を守ろうとする。彼と交流を深めるうちに絆を強くしていく様子もドラマらしさが感じられるものでした。
メインは法廷劇。正直思っていた程ではありませんでしたが、弁護側の対策やWinnyの存在意義についての議論などは見入っている程の面白さ。この件の裏側で展開される愛媛県警の裏金問題は、今の自民党の裏金問題とリンクしていて非常に興味深かったです。金欲に囚われた権力者の愚かさは今も当時も変わりません。
そしてエンドクレジットでの本人映像では思わず胸にこみ上げてくるものがありましたね。7年かけて無罪を勝ち取った。でもそこから僅か1年半で亡くなった事実は本当に残念。Winnyは著作権を侵害する目的で作った訳ではなく、IT技術の飛躍の1つ。もし逮捕や訴訟騒動が無ければと思うと日本のITにおいても大きな損失だったと思います。
