Mire

静かな雨のMireのレビュー・感想・評価

静かな雨(2020年製作の映画)
4.5
推しの主演映画の知らせを聞いて作品概要を見たとき、なぜ?と思った。原作を読み始めてすぐ腑に落ちた。たいやき屋さんは、握手会。

みんなそれぞれの過去を、思考を、世界を、持って今日を生きてる。記憶があるとかないとか関係なく、分かり合えるはずがない。だから分かろうとするし、分かろうとする姿を見たくなる。他の誰かの脳内に居たくなる。

そういうことを「あの子の世界にはわたしが居てわたしの世界にもあの子が居るけど、二つの世界は同じではない」と認識しながらもお客さんたちに「あ、」って「またね」って「ありがとう」って言い続けるこよみさんのことがわたしはとても好き。大学を一年も経たずに辞めてしまい、九州には帰らず、パチンコ屋の常連で台を選ぶのが上手すぎて店長を困らせ、砂糖とミルクは要らない派のこよみさん。

泣かせるための台詞も過去についての説明も、ない。分からない。でも端々に見えるこよみさんの考え方や生き方に惹かれていく。だから考え続けてしまう。他人と関わるとはそういうことなのだと体感する。

「結局は一生懸命つくるだけ、魔法なんてないから」
Mire

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