添島

静かな雨の添島のレビュー・感想・評価

静かな雨(2020年製作の映画)
4.1
好きの中に怖さがある。
設定としては50回目のファーストキスなんだけど、感覚はビューティ・インサイド。笑いに全く振っていない分、こよみさんの心もとなさがめちゃくちゃシビアに伝わる。そりゃ怖いよな、老いるし、体の構造まで変えられるかもしれないんだもん、知らないうちに。怖っ。
と、肉体の恐怖にざわつきながらもユキさんの精神的な苦悩もわかる。つらいし、しょうがない、嫉妬が見苦しい、そんなこと思うことが間違ってる、っていう煩悶。
本当静かな映画だったから、ともすればそれはそれで幸せに見えてしまう。いや実際幸せもそこにはあるんだろうけど。でもなんか、静かで、丁寧で、好きだなぁってすぐ裏側にしんどいって感想が透けました。

文学的な台詞回しと風景、音楽、でもやっぱりすき。
ちょっと焦げたたい焼き食べたいなぁ。


パンフレット読みました。
私が怖いよなって感じてたことを監督がインタビューで掬っててくれてぐっときてしまった。だからユキさんとこよみさんはあの距離感なんだ、描ききれなくてあそこまで、だったんじゃなくて、あえてあそこまでしか描かなかったんだ。うわー、すきです。
添島

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