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糸のytmkのレビュー・感想・評価

(2020年製作の映画)
2.3
もっと静けさのある物語だと考えていた
勝手にそう、期待していた

糸がつながるその時まで
ずっと絡まり続ける
「あの頃」を

もっと丁寧に 
思い出すだけでヒリヒリするような
もっと暗闇に
たとえ初恋が共にに存在していても
もっと無色に
足りないものばかりを数えてしまう様に

あの頃を観客すら背負ってしまった様な気分になるほどに
印象的に描いていたら…

生々しさのすべてを
中島みゆきさんの曲が引き受けていた
こんな奇跡なかなかなくて

まるでフェアリーゴットマザーな倍賞さんは
彼女自身に刻まれた歴史が
凄みになって、
大切なストーリーの温度になっていて
ストーリとともに生きた榮倉さんは、
信じられないくらいそこに生きていて
軽やかな声と裏腹に
背中を押す強さになって
シンガポール編を彩った高杉さんは
葵の人生のワンシーンの中で
彼自身の存在の輪郭の濃さを変えていた

糸で繋がった
キャストは申し分なかった
それだけに
たとえ素晴らしい楽曲にインスパイアされた
といえど
ストーリーか?
編集か?
展開か?

残念でたまらない
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