完全にサントラマーク

リスペクトの完全にサントラマークのレビュー・感想・評価

リスペクト(2021年製作の映画)
3.6
歌に救われ、歌に狂わされる。






歌手の自伝系映画は一つのあらすじマニュアルに沿って作られていると妄想したくなる。
それくらい成功して、酒やドラッグに溺れて暴れ散らかして、周りの理解者が助けてくれてなんとかなって、後世まで名を轟かす、の流れが大体全部一緒。
脆さや心の闇を昇華して、音楽で表現するってのは、まあある種のセラピーなんだろうなと。

「リスペクト」はかなりキリスト教と人種差別が中心の映画だったように感じた。神仏習合な島国に住む私にはピンと来ないところも少しあった(酒に溺れ心身共にボロボロのときにとにかく神にすがる場面とか)。

人種の違いってだり〜〜。
主人公の旦那さん(DVえぐい方)は黒人がそれまで必死に立ち向かってきたはずの人種差別と同質のことを、敵と見なせばそっくりそのまま白人の相手に対してやって、また双方が差別の応酬をする。
「差別の何がいけないのか」を本当に理解している人が一人も出てこなかったことは地味にズーンと残った。

あと先輩の歌手に楽屋で言われたことはまじで全部そう。叱咤激励とはまさにこれ。上司に怒られるならああいう感じが良いなあ。

最後の旦那さんが優しくてちゃんとした人だったのは救い。よかったね。