ShinMakita

猿楽町で会いましょうのShinMakitaのレビュー・感想・評価

猿楽町で会いましょう(2019年製作の映画)
1.7
渋谷・猿楽町の安アパートで暮らす売れないカメラマン小山田修司は、読モのプライベートフォト撮影を依頼される。彼女の名は田中ユカ。新潟から上京した垢抜けない子だったが、その透き通った魅力に参ってしまった修司。何度かのデートを経て交際を申し込み、ユカを「カノジョ」にすることができた。しかしある時、修司はユカが年上の男・北村と同居していることを知ってしまう。ブチキレてしまった修司だが、ユカは、北村との仲は既に終わっていて、好きなのは修司1人だと泣きながら訴えてきた。修司はそんな彼女を抱きしめ、北村の部屋から荷物を引き上げさせて猿楽町の部屋で同棲を開始する。が、その後、仕事が順調になっていくにつれ、ユカがつく嘘、黒い過去、ワガママぶりに振り回されるようになり…



「猿楽町で会いましょう」


以下、テキトーにネタバレでも考えてて


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価値観が合って可愛い、そんな女の子との同棲…そして破局。あの「花束みたいな恋」かと思いきやドクダミみたいな恋だったという映画。

「田中ユカとは、どんな人ですか?」というオーディションでの質問に、この作品の本質が込められています。ユカとはどんな人間か。一言で言うなら「空っぽ」、空疎な心と頭の人間です。ロメロ論も焼肉論も恋愛論も、全て他人の受け売り。とにかく自分を良く見せることだけに腐心する女で、その場の感情と打算だけで行動する女。不誠実で妬み屋で自分本意、他人への思いやりに欠けた女。

…つまりクズですよ。都合が悪くなると逃げ出して消えるだけ。そんな女に振り回されるとは、小山田くんもツイてないよね…と思いきや、こんなクズ女に惚れて葛藤したおかげで、彼自身は「空っぽな自分」から脱して成長できたので、無駄ではなかったんだろうなと思います。

ユカちゃんの唯一良いところは、部屋で「新幹線大爆破」を観ていた点。北村の影響かもしれないが、これを観る20代女子は見込みがあるよ。そして小山田くんが放つ一言要約がまたナイス。ジョージAロメロはともかく、なぜ監督はあのシーンで「新幹線大爆破」をチョイスしたのかな。止まったら爆発というのが2人の恋愛のメタファーなのか?

しかしだね、なんだかんだ言ったけど、ユカちゃんは確かに可愛い^_^
演じる石川瑠華は「イソップの思うツボ」に出てた子で、まだまだ新人。でも本作でガッツリ脱いでますので超高評価です。

「花束みたいな恋をした」で泣いた人こそ観て欲しい作品。ぜひ。
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