ぽち

シングルマザー ブリジットを探してのぽちのレビュー・感想・評価

3.6
枕詞に「リドリーの長男」と付いてしまうジェイク監督。スローペースなようで10年に1本ぐらいしか撮っていないのでこれまでの監督作は3作品のみ。

初めてジェイク監督作を観たが、親の七光りではない実力が伺える良作で驚いた。
脚本の上手さもにも助けられているのだが、つぼを心得た静かな演出が素晴らしく心に残るシーンが多い。

特に犯人との面接シーンは絶妙。最高に高ぶっている感情を無言で表現したセンスに驚く。もちろんシエナの名演あっての演出だろう。
ラスト付近のガレージセールでの元夫との会話も、短い台詞と演技で彼女の成長した心情を見事に表している。「再生」と言うテーマの〆に相応しいシーンだ。

ミステリー・パートの使い方も上手い。娘の事件はもちろん重要なファクターだが、あくまでメインは一人の女性の生き様。それを中だるみさせない緊張感を常に感じさせる控えめな使い方にセンスを感じる。

寡作なジェイク監督だが、「リドリーの長男」と言う枕詞は外してあげないと可愛そうだろう。それに今作がまぐれでなければ今後の活躍が期待できる監督で、もしかしたら後年リドリー監督の紹介に「ジェイク監督の父」と枕詞がつくかもしれない。

あ、ふと思ったが、今作をそのまま日本に置き換えて、10代で親子そろってシングルマザーって設定だと、とんでもないDQN映画になりそう。
あ~、イキったヤンキーが怒鳴りまくっている寒~いシーンまで目に浮かぶよ。
題名は「DQNばあちゃん奮闘記」だな。
ぽち

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