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ルクス・エテルナ 永遠の光のyokoのレビュー・感想・評価

5.0
10分ほどの光を永遠に感じさせる天才。
なんだよ上映時間50分しかないのか〜て思うじゃない?50分もあるというのが適切か。冒頭の、撮影のため2時間磔に拘束された女優として怒りの日を引用していたが、同監督裁かるるジャンヌ、ジーンセバーグの聖女ジャンヌの撮影での火傷も着想にはあるのではないか?

しかし映画作りのため消費される女達の地位向上ための映画かというとそうでもない。なぜなら故障した点滅ライトに焼かれる魔女シャルロットは美しいからだ。こんな環境いかん!にするならカタルシスを感じさせてはいけないから。それくらい彼女は美しい。シャルロットは片手だけ縛られていて片手はお腹あたりに置いているのだが、これは愛の嵐の表紙のポーズ、月バックの綾波レイに共通する美の黄金比だ!

逆光で被写体のシルエットが際立つのと、ライトの点滅で動くとコマ送りのように対象が、飛び飛びで動いているように見えるので、映画でもリアルでもない浮世な風景というか。アレックス経験済みの私はガン見する度胸はなく少し焦点をずらして観ていた。

テーマとして素晴らしい作品には女優の犠牲もやむなしとも見えなくはない。ノエたそは毎回なにか明確に悪意を残していくが今回もご多分にもれずw優れた作品には監督の署名(悪意)があるという引用、これはノエの本心だろう。

現場の混乱の様子に文字通り画面を混乱させる。ジャンリュックが師匠だと言うカメラマン、この現場とは大違いだそうだ。女優の名前だけで監督やるなよというミソジニーにもみえる。逆に監督ノエが、今作のプロデューサーやカメラマンのようにスタッフから嫌われているという自己嫌悪か?いや。

少しネオンデーモンのような監督自身の男性性を自覚するうえでの女性の意志というか、そういうオチの方向性もあるのかなとも思ったが無かった。気張ってた女性監督は狼狽、晒されるシャルロットは美しく、カメラマンはこれこそがアートだと叫ぶ。

まあジャンリュックの名前をだすからに、ノエはカメラマンの立場だろう。最初と最後で監督とカメラマンの立場が逆転しているのが面白い。監督もシャルロット同様焼かれている。最初の高慢さがどこにもない。あと過去作から観るからに、一貫して作家主義、映画作品のため女(演者)を犠牲にしてやむなしと考えていると思う。
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