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激動の1750日のFancyDressのレビュー・感想・評価

激動の1750日(1990年製作の映画)
4.0
本作は山一抗争をモデルに描いた実録路線モノである。

当初のタイトルは「首領を継ぐのは俺だ」だったが、渡辺芳則からクレームが付きタイトルが変更になったとのこと(ちなみに、特報では、「首領を継ぐのは俺だ」とタイトルが出る。)。

バブル期に公開された実録路線の本作は、70年代の深作欣二監督の「仁義なき戦い」シリーズにみられるような躍動感が、あまり感じられない。なんか、テンポが緩くてキレがない。

しかし、面白い。何故なのか?脇を固める名優たちの顔がいいからだ。名優たちの顔と演技合戦を見ているだけで、楽しくて、ニヤニヤしながら見ていた。

夏八木勲、渡瀬恒彦、石立鉄男、趙方豪、火野正平、栗原敏、きくち英一、中尾彬、萩原健一、中条きよし、清水健太郎、三上真一郎、志賀勝、野口貴史、成瀬正孝、福本清三、荒木しげる、本田博太郎、林彰太郎、川浪公次郎、中島葵、岡田茉莉子、丹波哲郎 というような面子を見ているだけで幸せである。

陣内孝則や加藤雅也も出ているが、上にあげた面子と比べるとあまりにも幼い感じがしてしまった。

主演の中井貴一は、渡辺芳則をモデルにした役だが、それを意識して見ると、どうしても迫力には欠けるが、まあ、渡辺芳則を意識せずに見たら悪くはないなと思いました(私は結構、中井貴一という役者は好きなんで。)。

あとは、たとえば、加茂田重政をモデルにした役を渡瀬恒彦さんが演じているわけだが、イケイケ感が最高に出ていて、はまってましたね。ちなみに、この映画の中での渡瀬恒彦は最後に自殺してしまうが、実際の加茂田重政さんは、2020年の9月に90才で亡くなりました。

陣内孝則さんが演じた石川裕雄(山口組四代目・竹中正久組長を暗殺したヒットマンチームを指揮したヤクザ。)をモデルにした人物も、この映画の中では射殺されてしまうが、実際の石川裕雄は現在も旭川刑務所に服役中みたいです。

てなわけで、虚実混交の本作は、中々、面白かったです。
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