YP子

フェイクのYP子のネタバレレビュー・内容・結末

フェイク(1997年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

アルパチーノにジョニーデップ。
なんて豪華なんでしょう。

アルパチーノは、
うだつの上がらないベテランマフィア。
真面目。
船を持ってた頃の自分を懐かしむ。
本当は自由に暮らしたいのかな。
動物が好き。
奥さんを愛し、息子を愛している。
家ではヨレヨレのジャージ。
憎めない。
向上心はあるけど、結果が伴わない。
ひたすら長年頑張ってるけど認められない。
弟子に「I love you」と言える。
習わしや掟を忠実に守る。


こんなおっさんを憎めますか!?
ゴッドファーザーのマイケルとは
正反対。
アルパチーノのすごいとこは
こういう所だよね。

哀れだけど信念のもとに生きてる
レフティという人間を
アルパチーノが演じると
こうなるのね。

圧巻!

かっこいい!憧れる!
っていう人間ではない、レフティは。
だけど、人間くさくて
愛に溢れた人。
アルパチーノの小物感、最高です。
大物も小物もいけちゃうなんて。


ジョニーデップも最高!
まず34歳のジョニーデップが
かっこよすぎる!
今の私と同い年か...すごいな!

冷静なドニー。
レフティの人柄に段々と惹かれていく。
囮捜査官だけど、どうにかして
かばいたくなる。
それはレフティが本当にドニーを信頼し
レフティが素の自分をドニーに
見せたから。


ドニーの気持ちも、レフティの気持ちも
とにかく最後はただただせつない。

レフティが死ぬ事を予想し覚悟して
最後家を出る時は...
もう、泣きました。
レフティ、どんだけいいやつなんだ!

そして、家族も犠牲にし
マフィアのいろはを一から教えてくれた
レフティを裏切って
6年も囮捜査をした功労賞が
ちっこいメダルとたったの500ドル。

簡易的でさっさと行われた授与式。
それを喜びでもなく祝福するでもない
少し困惑した顔で見つめる家族。

きっとドニーも妻も
「は!?これだけ!?
うちら家庭崩壊しかけてるんですけど!
F**k!」
って思ってたはずね。


FBIという組織の中の囮捜査官のつらさ。
マフィアという組織の中のつらさ。
どちらも自分は歯車のひとつでしかない
というつらさ。


あぁ、なんてせつない映画なの!?

実話に基づく映画。
だからかな。すごいリアリティ。

レフティが死んでしまったかどうかは
分からないけど、
レフティはすごく、いい奴。
(社会的には違うかもだけど)


決してハッピーエンディングじゃない。
観終わった後、ドニーと同様の
喪失感というかせつなさが
ひさたすら自分にも残る。
つらい。

それは、レフティの事を
私もどんどん好きになっていたから
だろうな。

すごいな、アルパチーノ。


でも2度は観ない。
せつないから。
YP子

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