お望月さん

犬王のお望月さんのレビュー・感想・評価

犬王(2021年製作の映画)
3.7
開始0秒のANIPLEXサウンドロゴの音量に「こういうのやるぞ」という覚悟が伝わってきた。

この作品では全てのエンタメ元素はあらかじめ人々の営みの中にあったという文明素粒子仮説を描こうとしている。

究極のクラシックである《原典》を目撃した人間は正気を保てないということを草薙剣のエピソードで描きつつ、まだ形状が定まっていない新たなクラシック《犬王》がやがて人間の枠組みに嵌め込まれてしまうという悲劇は諸行無常である。

本作の楽曲は、作中で繰り返し「新しい」と称されるものではあるけれど、現代基準ではかなり古く感じる(どこかで聞いたような)単調なものである。

作品に対して誠実ではあるけれど、観客としては少しだけ物足りない。ちょっと惜しい。