ふかぽん

犬王のふかぽんのネタバレレビュー・内容・結末

犬王(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます


冒頭の掴みの映像とラストのオチへの繋げ方が良くてブワワーッと感動して泣いた

時代の流れの中で歴史的に埋もれてしまった天才猿楽師:犬王の物語を脚本:野木亜希子、湯浅監督でアニメ映画にしよう!で主演はアヴちゃんと森山未來!っていう天才的スタッフィングだけで5億点満点だし、彼らが生きていた証である名前と物語を知っていて欲しいというテーマも最高だった。
総じて良かったんだけど、どうしても音楽シーンに突っ込まずにいられず、大絶賛の5点はつけられなかった。


琵琶でさすがにその音は鳴らなくないか...その優秀な裏方スタッフはどこから集めたんや...普通に現代のフェスやんけ...という雑念が途切れず。
踊りのシーンで定点カメラや映像使い回しまくってたのもちょっと見てて飽きたし、1番の見せ場のはずなのにいまいち盛り上がりに欠けたのが残念だった。
ーー予算の問題だとしたら投げ銭させてくれーー
犬王の異形であるが故の腕が伸びたり独特な動きがアニメーションとして序盤は面白かったのでどんどん普通の人間ベースに戻っていくところもアニメーションの迫力が失速していくように感じた...


実話ベースだと知らずに見てたので半分ファンタジーくらいに見てたけども終盤で実話だと判明して今までの時代性無視音楽描写は何だったの...?!って盛大に突っ込まずにはいられなかった。

ファンタジーかリアルどちらかにもうちょい振り切ってもらいたかったなとは思う

インタビュー読んでると脚本の野木さんの描きたかったリアリティのある能の描写と湯浅さんのイマジネーション大爆発作風があんまり噛み合っていない感じはした。巨匠2人の化学反応が起こりそうで微妙に消化不良だったた感。
アヴちゃんと森山未來がすごい人なんだな...というのは分かった。

友魚や犬王の一人称視点の演出とかすごい良かったし湯浅さんの演出がばちばちにはまっているところもあった。ああいう映像をずっと見てたい。

友魚と犬王の2人が出会うシーンがほんと最高なんだよ...そこが瞬間最大風速だった...

現代で始まり、現代で終わる構成がすごく良くて、なぜ古来より人は物語を残し現代まで紡いで来ることがあったのか...それは誰かに自分たちを知って欲しい、覚えていて欲しいという欲求から来るものなのだっていうメッセージを打ち出してきたのはほんとすごいしこの映画でしか味わえないメッセージだと思う。

作品を通してまた観客の私達も彼らを知ることができたしこうして物語が紡がれていく瞬間に立ち会えた感動は忘れないだろう

色々言ったけど犬王は絶対に映画館で見た方が良いので気になっていたら映画館で見ましょう。見届けようぜ!
ふかぽん

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