たこ

犬王のたこのレビュー・感想・評価

犬王(2021年製作の映画)
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作画と、ミュージカル調であるということ、演者、そして野木亜紀子さん脚本ということに惹かれて観てみた。

特に音楽が、あんまり、思っていたのと違うな…という印象。挿入歌の大部分が現代テイストのバリバリのロックで、時代背景、画風、描かれている楽器とのミスマッチで、それはそれでありだとは思うけれど、個人的には絵柄と時代から、和楽器感のある演奏を求めていたので、期待外れに感じた。予告でもロックが流れてるから、聞いて聞かぬ振りをした自分が完全に悪い。
湯浅監督としては最初から「フェスのイメージ」があったそう。室町時代にクイーンが出現したのは笑えた。

作画は、もちろん予告で見た通りの、時代にマッチした古風で繊細な絵柄で、迫力もあってよかった。

アヴちゃんの歌声は力強さと妖しさを備えていて素晴らしかった。アヴちゃんファンにはとてもオススメ。パフォーマンスもダイナミックで楽しめた。

異形の肉体を持った犬王が、健常者になっていくにつれ、却ってそれまでの独創的なスタイルを失い、さらに行政の圧によって、型にはめられた表現しか出来なくなっていくというストーリー、というレビューを見て、なるほどと思った。健常な肉体になっていくことが良い事のように描かれてはいたけれど、確かに当初は、強がりだったかもしれないが、長い腕に誇りを持っていたんだ。出会った頃の姿で再会するのも、そう考えるとしっくりくる。
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