あぶ

犬王のあぶのレビュー・感想・評価

犬王(2021年製作の映画)
5.0
そういえばアヴちゃんの事を好きになったきっかけも森山未來が出演していた映画だった。
犬王が忌み子として父親から存在しない者として扱われている中でも自分らしさを表現する事の中で呪いから解き放たれる事や、友魚が視覚障がい者としてどう世界を捉えているのかや、観客の中にも身体障がい者がいる事等、野木亜紀子さんらしい脚本が散りばめられた犬王の世界観は、その主題である「音楽」や「繋がり」を濃厚な物としていて、これまでの湯浅監督の映画と違った魅力を魅せてくれていた。
犬王の表現に民衆が惹かれていく姿をみて、初めて女王蜂の音楽を聴いた日の事を思い出した。
派手なメイクに力強い歌声でその存在感に圧倒された、他の曲を聴いてみるとそれだけではないアヴちゃんの魅力知ることが出来た。アヴちゃんのアイデンティティに触れることは何処か自分の中で否定していた自分らしさを許して貰えるような気さえもしていた。民衆も犬王に同じものを感じていたと思う、信仰に近い心酔の気持ち良さをスクリーンから感じ取れた。自分もあの民衆の中のひとりだったのだから。
アヴちゃんの歌声はもちろんとして大友良英さんの手掛ける音楽の自由さにも惹かれた。
昨年大友良英のライブに行った際に聴いた大友さんの奏でるノイズに譜面は無かったのだけれど、その中に溢れる音楽と触れ合うスタンスを、今回の劇伴や楽曲の中にも感じられた。民衆の誰かが言っていた「楽しいんだ」という言葉がしっくりとくるトキメキを感じていた。
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