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犬王のをちゃのレビュー・感想・評価

犬王(2021年製作の映画)
5.0
★時代背景がわからない方はぜひ字幕ありで観ると、内容が入ってきやすいですのでおすすめでございます^_^



名前に呪われた友魚と、生まれながら呪われたが自らの意思で自分の道を切り開く犬王。

何者かにはめられ、平家の神器によって命を落とした父と、目を奪われた友魚。親の恨みを晴らすためだけに生きてきた。言い聞かせてきた。
しかし自分の足で琵琶と出会い、居場所を見つけた今、次第に自分が呪われた“友魚“であるべきなのか、自分で見つけた“友一“であるべきなのか、葛藤し始める。
自分はそのために生きてきたはずなのに、生きなきゃいけないはずなのに。
一歩前へ進もうとすると、父母の呪いの言葉が足を止めさせる。

((母の死が告げられた際「この世に恨みもなく成仏した」と言われているからその説明はつくけど、父は…?
父の魂は友魚の自身の呪いとも受け取れるが、「名前が変わると見つけられない」と言っていることや友魚が次第に友一になっていくにつれて消えかかっていることを考えると、父は本物?呪いをかけたのは父…?でも最後に出てきた時には「恨みを果たせ」というようなことは言っていない。父が最後に伝えたのは恨みの言葉ではなく、「まめに暮らせ(元気でいろよ)」の言葉。)


自分がわからない中、ありのままの自分を受け入れ、自分の道を生きる犬王に出会う。

自分に対して恐怖や憎悪の感情を抱くのではなく、“人“として初めて接してくれた友魚を。
己が何者かわからない自分を、琵琶を通して壇ノ浦の友魚ではない友一として初めて接してくれた犬王を。
互いが初めて。互いが光となった瞬間。
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