まつこ

生きるのまつこのレビュー・感想・評価

生きる(1952年製作の映画)
4.6
「生きる」ってなんだろう。
きちんと生きている人がどれだけいるんだろう。

末期癌を患った男が「生きること」に目覚める物語。

くどいと感じほどに続くお役所仕事の怠惰と皮肉。劇場が一体になるくらい大きな笑いで包まれた。悲しい物語なんだけど、そのコントラストがいい。

小田切さんが好きでもっと彼女をみたい!いや、彼女の生き様を一本映画にして欲しい‼︎と本気で思った。自分に正直な彼女は生き辛い日もきっとあるだろうけど、そんなのどこ吹く風!で幸せを求め続ける力強さに勇気をもらった。側にいると暑苦しいかもしれないけど、輝いて見えるのは嘘がないからなんだろうな。

私はきっと人よりも「生きていること」を実感できる環境にいる。
人の和解も後悔も色んなことを見届けてきたし、偉そうなことも言ってきた。

それでも忘れてしまう。

今日がもうこないことを。
明日がくるとは限らないことを。
忘れそうになったらまたこの作品を手に取ろう。

私にとって初めてのクロサワ映画。なんとも愛おしい一作に出会った。

〝人は死を前にして初めて、人生の真理を知る〟

♫ゴンドラの唄
まつこ

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