酩酊石打刑

乱暴な記録の酩酊石打刑のレビュー・感想・評価

乱暴な記録(2019年製作の映画)
3.6
韓国映画のえげつない程の、見ているだけで痛い暴力描写を楽しむだけに特化された作品。香港アクション映画みたいに、バタバタと湧いてくる敵をバタバタと倒す。しかし敵を倒すことによる解放感、爽快感はなく、ひたすらに気分は暗く陰鬱に沈み込んでいく。これっていったい、とあきれながら作品世界に入り込んでいく。
この映画にストーリーの妥当性とか、場面設定への現実的な正当性を求めてみてもしかたがない。ましてや作品の主題、主張なんか考えると、ヘンテコなバイアスがかかってしまっていいことなどありはしない。
しかしながら、韓国映画の武器にはいつも驚かされる。この映画では、車のワックスの缶なのだろうか、それをそのまま打撃用に。そのあとには缶の蓋が刃物として相手を切り裂いていく。また、ボールペンが手槍のように相手を突き刺す。船の繋留のためのロープは鞭のように撓る。
このような暴力描写に興奮気味に見入ってしまうわたしって、と内省的になってしまう。