たかはた

キングメーカー 大統領を作った男のたかはたのレビュー・感想・評価

4.5
ビョン・ソンヒョンが撮る男同士の絆は、身体接触を軸にセクシュアルな欲望が読み込める。『名もなき野良犬の輪舞』はそれはもうそうでしかなく非常に楽しませてもらったが、今作は前作のような「2人だけの世界」は離れて、ウンボムの妻(や国民)とのバイセクシュアリティ的関係性が濃く出ていていたように思う。
チャンデは自分とウンボムとは根底の「生き方」が決定的に異なる、という潜在的な失恋(失恋状態)に常に傷付きながら、幾度となく失恋(そうとしか言いようがない)をする。焦がれた相手に信じてもらえること/信じてもらえないことに一喜一憂するチャンデは健気で、観ているこっちの胸が痛い。
ソル・ギョングのあの選挙ポスター私もほしいんですけど!と思ったけど、チャンデはたぶん事務所からポスターくすねて来て妻子もいる我が家に堂々と貼るまでいってると思う(実際チャンデのデスクの上に飾られてた小さい写真立ての艶っぽさよ!)。
1回目観た去年は冒頭のちょい役とソル・ギョングとイ・ソンギュンとの見分けもつかん新参者やったけどキネ旬のムックや数々の面白映画のおかげで再びこの映画に出会うことができ嬉しく思う。ここで描かれない空白の部分には他の韓国映画で主題になるような、朴正煕暗殺やら民主化運動などなどなどがあって、この前観た金大中の大統領選がキーとなる『工作』含めて色んな角度から同じ史実を見れるのは映画体験として厚みがあって楽しい。

22.9.1 1回目
23.3.3 2回目

他のユーザーの感想・評価

dai

daiの感想・評価

3.9
この作品は、金大中大統領と彼の参謀の実話に基づいた話。

ソル・ギョング扮するキムはいわゆるみかん箱の上で演説するような弱小政治家であった。ある日、チャンデという青年がやってくる。彼は「1票を得るより対抗馬の10票を減らす方が良い」と進言し、キムの右腕として対抗馬のネガティブキャンペーンを行なっていく。キムはチャンデと共に政界へ進出していくのだが、、、

政治は薄汚い世界。理想だけではのし上がれない。しかし、上に立たなければ何も変えられない。そんなジレンマがひしひしと伝わる映画であった。
1960年代のある政治家と男の話。

確かに周りの政治家がお金や権力を使っているのに
良い人だけが正々堂々戦っても勝てないのかもしれない。

韓国の選挙における全羅道・慶尚道の地域地盤についても描かれていたのも印象的。
日本も国の代表を直接選ぶ。ということになったら、韓国のような地域対立もありうるのだろうか・・・・。
異榻同夢

 金大中韓国元大統領をモデルにした野党の大統領候補(ソル・ギョング)と、その選挙参謀だった男(イ・ソンギュン)の関係を、実名でこそないものの、ある程度史実に沿ったストーリーで描く、骨太のポリティカルサスペンス。

 韓国ならではの権力批判もさることながら、民主主義の実現という同じ夢を見ながら、そこに至る手段に対する考え方の違いから袂を分つことになる二人の男のバディものとしても見応え十分。
soo

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4.0
ラストシーンが良い。後悔先に立たず。嘘が見抜けなかったから仕方ない。
にしても、イ・ソンギュンの声が素晴らしい。
バニラ

バニラの感想・評価

2.8
チャンデは世の中を変えたい思いから新民党に所属するウンボムに肩入れする。
大統領選の裏側を描く実話を基にした物語。
モノクロの映像も挿入され、ドキュメンタリーぽさがあった。
理念の全てに同意する事はあり得ない、政治の世界では信じた相手の裏切りは付き物なのだろう。
選挙に勝つためと政治を正すためが異なるとは、勉強になったと言うべきか。
相手の良心に訴えるニワトリの話し、考え方の違いはわかるような気もした。
もっとエンタメ寄りなのかと思ってたから感動ほどは無くて、そんなもんかなと客観的に観れた。
ラストの会話も渋い、リアルだった。
たく

たくの感想・評価

3.5
韓国らしい政治映画。
金大中を基にした実話で、最後は何とも言えない哀愁があった。

正直、途中難しくて、話に食らいついていくのに必死だった。
最後、イ・ソンギュンとソル・ギョングが語るシーンがあるが、演技力でものすごく魅せる。
韓国の政治ものって、最後おっさん同士でめちゃくちゃカッコいいシーン作る印象が強い。この作品も然り。

コミカルなシーンもあり、映像も60年代のようなエフェクトがかかっており、なかなか工夫はしてあった。

このレビューはネタバレを含みます

これはラブストーリーですか?
恋愛映画に観えました


実話を元にしているらしいがお恥ずかしながら全く知りません

似たような髪型に顔にスーツ
誰が誰だかイ・ソンギュンさん以外時々分からなくなり頭がフル回転でした

お恥ずかしい

そもそもがイ・ソンギュンさんの声が聞きたくて片っ端から見てるという不純です
韓国の政治サスペンスものは今までいくつか見てきたけど、一番良かった。

まず、役者が脇まで全員オールスター。いつも見る人たちが、一斉集合。すごい。ソル・ギョングとイ・ソンギュン、めちゃくちゃいい…。ずっと見入ってしまう。

しかも、無駄が全然ない。余計なもの、過剰なものは一切ない。しかし、物足りないとはまったく思わない。ずっと面白い。シンプルに傑作を作ってしまう監督はすごい。キルボクスンがますます楽しみになった。
1号

1号の感想・評価

3.9
良作でした。
金大中氏の政治家としての半生と共にあった人のドラマなわけだけど、時代とはいえ二人してドラマティックにもほどがあるほどドラマティック。史実ベースの政治ドラマの力の強さに驚くばかり。
それにしても韓国映画、クオリティ高いな。
「名もなき野良犬の輪舞(ロンド)」のビョン・ソンヒョン監督作品。「殺人者の記憶法」のソル・ギョング、「パラサイト 半地下の家族」のイ・ソンギュン主演映画。「アジョシ」のキム・ソンオも出てます*\(^o^)/* それにしてもイ・ソンギュンはいい声してる❗️
韓国大統領選挙の裏側を描いたポリティカルサスペンス。

1961年。韓国東北部の江原道で小さな薬局を営むソ・チャンデは、世の中を変えたいという思いから野党の新民党に所属するキム・ウンボムに肩入れし、ウンボムの選挙事務所を訪ねて、選挙に勝つための戦略を提案する。その結果、ウンボムは補欠選挙で初当選を果たし、63年の国会議員選挙では地元で対立候補を破り、新進気鋭の議員として注目を集めるようになる。その後もチャンデは影の参謀として活躍するが、勝利のためには手段を選ばないチャンデに、理想家肌のウンボムは次第に理念の違いを感じるようになり……。

第15代韓国大統領・金大中(キム・デジュン)と彼の選挙参謀だった厳昌録(オム・チャンノク)の実話をベースに、生き馬の目を抜く苛烈な大統領選の裏側を描いた。
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