たかはた

キングメーカー 大統領を作った男のたかはたのレビュー・感想・評価

4.5
ピョン・ソンヒョンが撮る男同士の絆は、身体接触を軸にセクシュアルな欲望が読み込める。『名もなき野良犬の輪舞』はそれはもうそうでしかなく非常に楽しませてもらったが、今作は前作のような「2人だけの世界」は離れて、ウンボムの妻(や国民)とのバイセクシュアリティ的関係性が濃く出ていていたように思う。
チャンデは自分とウンボムとは根底の「生き方」が決定的に異なる、という潜在的な失恋(失恋状態)に常に傷付きながら、幾度となく失恋(そうとしか言いようがない)をする。焦がれた相手に信じてもらえること/信じてもらえないことに一喜一憂するチャンデは健気で、観ているこっちの胸が痛い。
ソル・ギョングのあの選挙ポスター私もほしいんですけど!と思ったけど、チャンデはたぶん事務所からポスターくすねて来て妻子もいる我が家に堂々と貼るまでいってると思う(実際チャンデのデスクの上に飾られてた小さい写真立ての艶っぽさよ!)。
1回目観た去年は冒頭のちょい役とソル・ギョングとイ・ソンギュンとの見分けもつかん新参者やったけどキネ旬のムックや数々の面白映画のおかげで再びこの映画に出会うことができ嬉しく思う。ここで描かれない空白の部分には他の韓国映画で主題になるような、朴正煕暗殺やら民主化運動などなどなどがあって、この前観た金大中の大統領選がキーとなる『工作』含めて色んな角度から同じ史実を見れるのは映画体験として厚みがあって楽しい。

22.9.1 1回目
23.3.3 2回目
たかはた

たかはた