peko

ソウルフル・ワールドのpekoのレビュー・感想・評価

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)
4.0
ジャズピアニストを夢見る音楽教師ジョーは、憧れていた舞台で演奏できるチャンスを掴む。浮かれていた彼は街を歩いている途中マンホールに落下してしまう。目が覚めるとそこは生まれる前と死後の世界へ導く狭間・ソウルの世界だった。果たして彼は元の世界に戻れるのか?

劇場公開にならず配信のみになってしまったディズニーピクサー作品。『インサイド・ヘッド』が記憶に新しい輝く粒子が細かく美しいアニメーションがまた一段と強みになって表現されていたように思う。留まる事を知らない最高峰の技術に毎度驚かされる気がする。

私の人生の「きらめき」は?
ずっとずっと幼い頃から憧れで、夢で、叶えるために生きていて。口で否定していても心が否定できないもの。迷いなく夢を追いかける人、夢を諦めた人、何の夢もない人。じゃあ夢を諦めた人は今不幸せなのか?夢もない人に生きる権利はないのか?そんなことないよって教えてくれる。夢=きらめきじゃない。ご飯が美味しかった、見上げた空が綺麗だった、音楽が心に響いた、ただの生活の一部がかけがえのないきらめき。生きるのに理由なんて必要ない。彼女が話した”魚”の話。私は今きっと海にいる。

凄いなと思ったのは自分を見失った時の22番の表現。ジョーは彼女を傷つけるつもりなんてさらさらなかった。何気なく発した言葉がいつのまにか彼女の心を傷つけていたところ。ジョーにとって当たり前だった生活の一部が彼女にとっては新鮮で今までにないときめきがあった。攻撃的な言葉じゃなくとも人の人生を左右する価値観の押しつけはいくらでもある。

生きる意味がわからなくなってしまう事なんてきっと誰にでもあると思う。メンタルがやられていたら間違いなく号泣していた。魂ごとひっくるめて人を優しく抱きしめてくれる映画だった。
明日から、何がきらめいて見えるかな?生きるのがちょっとだけ楽しみ。
peko

peko