生きることの意味は何か?
その問いを生前と死後から見つめ直す斬新な傑作。
ピクサーならではのお見事な大人向け人生映画なのだが、もはや仏教などの死生感を巧みに子ども向けに説いてるかのような異次元の語り口になっている。
夢を叶えることは本当に生きる意味なのか?
生き甲斐を見つけ出すことが生まれた意味なのか?
知らず知らずの内に、宗教まがいの自己啓発やCMに踊らされて、思い込んできた固定概念をそっと優しく剥がしてくれる。
これはトランプ時代を経て、アメリカンドリームが押し付けてきた夢の残骸を修復する映画。夢を持たなければならない訳でもない、何かを成し遂げなければならない訳でもない。
でも、それに気付けたのは彼が自分をようやく認めることができたからかもしれない。
これは親が子どもに押し付けてしまいがちな理想が、どれほど子どもにプレッシャーになるかを教えてくれる作品。
ピクサーは何時だって、親が子どもにどう接すれば良いのかを教えてくれる。
そして子どもの気持ちにも戻れる。
22番の未来を考えた時に希望を感じるのは、そこに可能性しかないからだ。