Akiyoshi

ソウルフル・ワールドのAkiyoshiのレビュー・感想・評価

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)
4.0
ピクサーの到達点がココにある。ついにと言うか、やっとと言うか3DCGアニメ最強のスタジオが「大人」を描いた衝撃に誰も気付かない没入感。音楽のパワーと極めてリアルな現実の表情を細かく作り込んだ世界に相変わらず「すげー」としか感じられず……😌

ビックリ仰天!する技術の数々にピクサーだからこその慣れを感じてしまっている中で、しかもコロナ禍で精神的に参る中で。描かれるミュージシャンになる夢を追いながらも現実ではなかなかうまくいかないと思ってる男とお話。

そーんな男(ジョー)がとあるチャンスを手にした瞬間に、ソウル(魂)の世界へ迷い込むわけですよ。現実の世界へ戻るために「現実にいきたくない」22番というソウルとの冒険が始まる!

チャンスを掴んでヨッシャー!ってなるジョーですが、夢に向かうことに一直線すぎて回りが見えずにマンホールへ落ちる🙍💨⤵️という盲目的な表現が初っぱなからリアルでなるほどなぁと。

そのチャンスをどうにかしてなんとかして!との気持ちが強いまま冒険は進む。目指す「夢」は人それぞれだがこの作品では説教がましい表現がなく、フラットな気持ちでストーリーに没入させてくれるのでジョーの強い気持ちへの理解も、共感もできる。そして行き着いた結論もね。

夢への向き合い方、人生の素晴らしさ、自己肯定等の幾つものピクサーのメッセージが響く。物語のキーキャラクターとなる22番の名の由来はおそらく今までのピクサー作品22作にかけているのでしょう(本作品が23作目)。22番というキャラクターは全てを否定し許容できないネガティブなキャラになっています。これは万人ウケする大ヒットメーカーピクサーにも共感できない層が一定数いて、そういったことを受け止めた、知っているよという意味でこのキャラクターにて表現したのではないでしょうか。そういった俯瞰的な側面からも自分達の作品を見ることができる素晴らしい客観性がメッセージになっているのも素敵でした。

また、ジョーが生徒にジャズの素晴らしさを語るときに「わかるだろ?」と共感を求めますが、「どの辺が?」と返す場面に本作品は大人向けだから子どもには伝わらんかも?という自己批評まで入ってる客観っぷりがありましたね。笑

同じピクサーで同監督の「インサイド・ヘッド」のように人の内面、子どもの心身の成長を描くことが共感でき、親視点からも押し付けや価値観の受け入れをも感じさせる。リアルでもお子さんの成長を見ている監督ならではだなぁと感心しました。

総括して、改めてピクサーの素晴らしいアニメーションを見れてありがとうって感じです。映画館でやって欲しかったなぁ。
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