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ソウルフル・ワールドのもちのレビュー・感想・評価

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)
3.7
グサグサ心に刺さる...それも心のささくれをえぐるような大人向けアニメーション。

みる前に想像していた話とだいぶ違いました。魅力的なキャラクターが出て来るジャズメインのお話なんかと思っていました。

でもね、この主人公のジョー。きらきらしているっていうよりも夢破れてひとまずのらりくらりと生きているような。その一方で生きがいのジャズのことになると自分のことしか見えなくなる。とっても人間くさいです。

そんなジョーはやっとこさ掴んだジャズミュージシャンになる道を目前に、マンホールに落ちてソウルになってしまう。

ソウルになってから、自分の人生や人間関係を見つめて直していく.....というのがお話し。けっこう魂とか、生前の世界とか、スピリチュアルなお話です。

個人的に心にグサグサ刺さるのは、ジョーが人に誇れるような功績を残してないとか、夢を目前に死んでしまうとかよりも、人に本気で接して来なかったというところ。

ジョーの馴染みの床屋が出てくるんですけど、あることがきっかけで、ジョーは生きている間床屋とジャズのことしか話してこなかったと気付くんです。彼の身の上話は聞こうともしなかったと。

またジャズミュージシャンの夢をを否定するジョーの母親に対しても、なぜ母は反対するのか、ジョーがどれだけジャズに対して本気になっているかを話そうとしてこなかった。

人の態度や対応は、自分の接し方の鏡なんですね。

普段の生活の、当たり前だけどあまり考えてこなかった痛いところを突いてくる映画です。
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