半兵衛

クイーン&スリムの半兵衛のレビュー・感想・評価

クイーン&スリム(2019年製作の映画)
4.1
『ポニー&クライド』ものの範疇に入る作品ながら、黒人に恫喝的な白人警官とのトラブルという現代によくあるエピソードを導入することで現代的なドラマに仕立て上げることに成功している。そして警官を殺した二人の逃避行も、単純な反権力ではなく立場が違う黒人男女が様々な葛藤を経てアメリカにおける黒人の立場と向き合いアイデンティティを確立して羽ばたき伝説へと昇華されていく。

一般市民の男性と弁護士の女性、同じ黒人ながら視点も立ち位置も違う二人のギクシャクしたやりとりが絶妙でサスペンスな逃走劇にユーモアと現代アメリカの状況を浮かび上がらせる。

ラストの『暗黒街の弾痕』とも『俺たちに明日はない』とも違う二人の結末が印象的、静かな抗議と言うべきか覚悟の表明と言うべきか。
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