Ryohei

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェストのRyoheiのレビュー・感想・評価

5.0
《映画における"間"と"音楽"と"余韻"の最高峰》

エンニオ・モリコーネを称えて…
先日悲しいニュースが入り込んできました。
1950年代から60年代を筆頭に映画音楽を手がけ、ひいては生前まで生涯現役を貫いた映画音楽の巨匠であるエンニオ・モリコーネが先日旅立たれてしまったようです。92歳でした。
そんなモリコーネを偲び、
彼の代表作の一作でもある本作を鑑賞する経緯に至りました。

映画音楽が大好きな私にとって、
にわかでありながらも映画音楽を語る上で外せない人物の1人だと思います。
ドル箱3部作を始めとするマカロニウエスタンや『遊星からの物体X』等々、
非常に幅の広い楽曲を映画に吹き込んでいました。
彼の音楽の中でもとりわけご存知の方が多いと思うのはやはり、
『ニューシネマパラダイス』ではないでしょうか。
私もこの曲のピアノの旋律を聴くだけでも映画館のシーンを思い出し、反射的に涙が出てしまうような体になってしまっています😭
そんな『ニューシネマパラダイス』を代表する様に、エンニオ・モリコーネの音楽は映画を格段と際立たせてくれる存在となっています。
近年で言えば、
タランティーノ8作目となる
『ヘイトフル・エイト』での楽曲制作。
『ヘイトフル・エイト』は70mmフィルム上映方式という昔使われていた豪華な上映方式で、
日本では設備的に上映が不可能なため国内での上映は叶わなかったそうですが、
本国アメリカでは本編が始まる前、
(日本で言えば映画泥棒のシーンが流れてる頃)
モリコーネがこの作品のためだけに特別に書き下ろした"序曲"が映画館のシアターに流れており、鑑賞者は『ヘイトフル・エイト』本編前までこの序曲を聴くことによって本編への気分を高めていたそうです。なんという至極な映画体験なんでしょうか。
タランティーノ自身もまた、
『マカロニウエスタン』の大ファンとして知られ、
本作でもある、
『ワンスアポンアタイムインザウエスト』
を見たことによって映画監督を志したとまで公言しているようです。
そんな彼が憧れの世界にいたモリコーネと仕事したいと思ったのは当然のことなのでしょう。
タランティーノ作品を見た後に本作を鑑賞するとタランティーノがどれだけこの作品に影響されたかというのがよくわかります。笑
こんな映画見たら私でも映画撮りたくなりますもんね。笑

偶然も重なりますが、
前々作にてレビューさせて頂いた、
『ラストムービースター』では、
バートレイノルズ本人が振り返る人生の中にマカロニウエスタンの存在があったり、

前作にてレビューした
『イージーライダー』ではアメリカンニューシネマと共に人気を博していたマカロニウエスタン。
『イージーライダー』で主演を務めたピーターフォンダのお父さん、ヘンリーフォンダが本作『ワンスアポンアタイムインザウエスト』に出演しています。(ちなみにピーター・フォンダの娘であるブリジット・フォンダは『ジャッキーブラウン』にてタランティーノと仕事していたりと
この辺りの映画的な繋がりを見るだけでも面白いですよね。)
前作レビューの冒頭に
《ピーターフォンダの充電させてもらえませんか》
とキャッチコピーを付けたのは、
バイクで旅するピーターフォンダをテレ東で放送されている出川の充電旅🍉になぞらえたのですが、そんな出川の充電旅のBGMとして使用されている「♪さすらいの口笛」もエンニオ・モリコーネ曲だということもここで付け加えさせてください。笑

話が逸れすぎて
ここでようやく本編のレビューに入れるのですが、(やっとかよ)
兎に角、見てください!
と言うのが正直なところです。
『邦題:ウエスタン』で知られる
『ワンスアポンアタイムインザウエスト』
ですが、私が見たのはさらに20分のオリジナルを付け加えた完全版のようです。

正直ここまで"時間"を贅沢に使う映画は今までに見たことがありませんでした。
何もかもが発達した現代だからこそ、
時間の経過を感じるのが早くなってしまったのかもしれません。
だけど、この男たちの生き様を見ていると
『ワンスアポンアタイムインザウエスト』
のタイトルが示すとおり、
栄枯盛衰が確かにそこにはあったのではないかと感じます。

この映画の魅力を、
正直今の自分の言葉だけでまとめるのは難しいですが、逆に言えばそれだけ魅力の詰まった作品だと捉えることもできると思います。
是非とも、モリコーネの音楽と共に西部開拓時代へと旅してみてはいかがでしょうか。
Ryohei

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