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ガリーボーイのレクのレビュー・感想・評価

ガリーボーイ(2018年製作の映画)
4.0
インドで活躍するアーティストNaezyの実話をもとに、スラムで生まれ育った青年がラップとの出会いによって人生を一変させる姿を描く。
日本語字幕監修にいとうせいこうを迎え、ラップの歌詞に韻を踏ませてる。

貧しい暮らしで胸に秘めた嵐、格差という虚無と埋められない距離。‬
‪音楽が変える世界と音楽で切り開く未来。‬
‪唯一無二の人生で遮二無二に足掻く青春映画としても完成度は高く、ヒップホップの根底にある貧困と生活の合致が物語に説得力を持たせ、ラップの原点回帰へと繋ぐ。‬

人の価値が生まれで決められるインドの社会。
使用人の子は使用人、決められたレールから脱線するラップとの出会い。
息子の将来を思うが故の、等身の人生を歩ませる抑圧。
大きな夢を叶えるために鬱憤を力に変える声圧。
王道のサクセスストーリー且つ実話というフィルターを除いても、音楽がきっかけで貧困ながら安定していた生活に支障を来たし、困窮がその生活を救うといったこの逆位置とアンバランスさの見せ方はドラマ性を持つ。

また、自身の言葉をリリックとしてノートに書き出していたムラドが、自身の声としてラップに吐き出す自己表現の工程も好み。
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