ぺんじん

アルプススタンドのはしの方のぺんじんのレビュー・感想・評価

4.2
タイトル通り「アルプススタンドのはしの方」で行われる会話劇。舞台はそこからほとんど動かず、しかも試合が行われているグラウンドに関しては全く映されない。
そんな限定された舞台設定の中、ちょっと試合に乗り切れていない高校生たち。そんな彼・彼女たちの心情の変化が会話劇とちょっとしたカットで表現されているのが素晴らしい。
似たような映画としては『桐島、部活やめるってよ』があるけど、あの映画がモノローグ中心で、一見恵まれている高校生たちの実存的な不安を描いていたのに対して、今作は登場人物たちのそれぞれの思い込み・偏見が、会話が繰り返される事で次第に一つの方向にまとまってゆく様子を描いていく。ゆるい会話からの展開がとにかく熱い!
高校生がそれぞれ抱える小さなつまづき。「しょうがない」と、どこか諦めていた高校生たちに次第に熱い気持ちが蘇る!画面に一度も写っていない人物に胸が熱くなるなんて!
コンパクトな舞台設定とミニマムな演出が輝く一作。「ブレックファスト・クラブ」のような「ルーザーズ」たちの青春映画だ!
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