KnightsofOdessa

The Living World(英題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

The Living World(英題)(2003年製作の映画)
4.0
[中世騎士道的言霊思想] 80点

MUBIにウジェーヌ・グリーンの特集がやって来た。登場作品は日本では入手の難しい本作品『ポンデサール』『ジョセフの息子』『ポルトガルの尼僧』の4本。そもそもウジェーヌ・グリーンが日本で入手し難いという話はこの際置いとくとしても、やはり嬉しいので観てみる。

本作品は、子供を食らうオーガとそのベジタリアンの妻、オーガに気に入られて囚えられた少女、彼女のためにオーガを退治しようとする二人の騎士、そして食料として捕まった二人の子供を巡る寓話である。中世の話なのだが、服装や言葉使いは現代的な上に、舞台もそのへんの森や部屋なのでチープな感じは否めない。そして、ブレッソン以上の無表情棒読み演技を過剰な正面切り返しで撮り続け、二人の人間が画面に入っているのが珍しいくらい病的に切り返しをはさみ続ける。
ちなみに、オーガが登場すると必ず足元のみ映される仕様になっている。これには『ベン・ハー』のキリストみたいな存在感はあるんだが、正直着ぐるみの詳細を決められなかったとしか思えない。

オーガに挑んだ獅子の騎士は負けてしまうが、その妻の愛を勝ち得ることで復活。逆にオーガを倒した別の青年騎士は、解放した少女になぜか振り回されまくる。獅子の騎士の復活やオーガの結婚関連で言葉が云々と言っていたので、多分言霊思想が関係しているんじゃないか。よく知らんけど。

終盤になって、解放された少女を伴った青年騎士とオーガ妻のおかげて復活した獅子の騎士の四人が邂逅するシーンがある。ここだけは画面に正面を向くカップルを同時に入れていて、おお!と思ったが、結局一人ずつに戻っちゃったしやりたいことは終始不明だった。

獅子の騎士の名の由来は、隣りにいる獅子なんだけど、どう見ても普通の犬で、ライオンの吠える声を上から被せている。犬があんまり強そうじゃないのもあってジワリティが凄い。ただ、全編に渡って八面六臂の活躍を見せるので犬映画でもあったのかもしれない。
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa