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サヨナラまでの30分のKのレビュー・感想・評価

サヨナラまでの30分(2020年製作の映画)
3.4
それほど期待せず観始めたら思っていたより良かった。経緯の分かる序盤が手際よい。異常事態に叫んで驚かない演出が好感。こういう作品にありがちな、当事者しか知らないエピソードで信じてもらう展開は無いのが意外。もしかして…という描写もかなり少なめ。各場面でアイテムとしても比喩表現としても活躍するカセットテープ。ナンバープレート893。スープをよく作るカナ。ときどき見分けづらい幸輝と亮介。中身はアキだけど外見は颯太だから…と複雑な表情を見せるデートシーンが印象的。颯太サイドの葛藤も共感させられる。そしてカナの心情吐露が切ない。影で見せる演出がおしゃれ。“持っておく”がそのままの意味で扱われる場面はびっくりした。真剣佑さんも北村さんも非常に良い歌声。歌い分けをする北村さんにはさらに驚かされる。ギターとピアノ。大感動とは違うけれど、殻に閉じこもっていた主人公がアキの憑依によって踏み出したことのない領域へ進み、次第に開花していく様が観ていて心地良かった。
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